すごくいい。主人公の2人は不器用で欠点も多いが、その軽薄さや辛辣さは愛らしくもある。レオ・ウッドールが良かった。『ホワイト・ロータス』など、既に何本か見ていたようだが、終盤を一手に引き受けた本作が代表作だろう。演じたデクスターは不器用で、観客は彼を愛せなくても、しかし突き放すことができない。
恋愛ドラマのようで、それぞれの人生の物語である。2人がほとんど接点を持たないまま終わる回も多く、孤独や痛み、切ない想いを相手は知る由もない。互いの人生に束の間、介在し、想いは時間によって積み重ねられていく。
毎年の7月15日しか描かれないため、視聴者はエピソードを追っても2人の近況がよくわからないことがある。あの時の友人はどうなったのか、病気の母親はどうなったのか。互いを想い合う2人でも、その全てを知ることはできず、恋は常に自分から見える一面だけの感情なのだなと思う。
秘かに記してきた日記や、親友の打ち明け話のような親近感がある。個人的な物語を普遍へ転換し、タイトルの意味を変える終幕に号泣。映画版もあるようだが、TVシリーズのナラティブでこそ1日の積み重ねから人生を描けたのだと思う。