醤油屋の弟子

大河への道の醤油屋の弟子のレビュー・感想・評価

大河への道(2022年製作の映画)
4.0
実は私、測量士の資格を持ってましてとても興味深くこの映画を見ました。

原作は立川志の輔の落語「伊能忠敬物語」のようですね。伊能忠敬の日本地図作成にまつわるエピソードが描かれている映画です。この映画は単なる歴史映画ではなく、現代に生きる人々の成長や葛藤を描きながら、伊能忠敬の偉業がどのように達成されたのか、その背後にある人間ドラマに焦点を当てていました。

伊能忠敬は、江戸時代後期に活躍した測量家であり、彼が作成した日本全土の地図は、当時の技術水準を大きく超える正確さを誇りました。彼は、50歳を過ぎてから測量の世界に飛び込み、その後、17年かけて全国を歩き、日本全図を作り上げました。主人公が伊能忠敬に共感し、彼の人生を振り返りながら、自分自身の生き方を見つめ直す様子が非常に良かったです。

映画全体を通じて感じられるのは、絶妙なユーモアと感動のバランスです。伊能忠敬の物語自体は非常に真面目で壮大なものですが、それを現代の視点から軽妙なタッチで描くことで、重さを感じさせない作りになっていました。特に、現代の市役所職員たちのコミカルなやり取りや、町おこしプロジェクトのドタバタ劇が映画のテンポを軽やかにしています。

しかし、単なるコメディでは終わらず、伊能忠敬が成し遂げた偉業に対する畏敬の念や、彼が旅の中で直面した困難、それを支えた弟子たちの献身など、感動的な要素がしっかりと描かれています。特に、彼の年齢を考えると、その挑戦の大きさや彼が持っていた熱意、そしてそれを支える周囲の人々の愛情が強い感動を与えます。

キャスト陣も素晴らしい演技を披露しています。歴史的な場面と現代の場面の対比を巧みに描いてるのがよく出来ていると感じました。出演者の使い方がとても面白いです。