F亮

マイ・ブロークン・マリコのF亮のレビュー・感想・評価

マイ・ブロークン・マリコ(2022年製作の映画)
3.5

原作のファンです。

原作が、リアルにするところはリアルに、漫画的にしたいところは漫画的に、と漫画としての技術力が非常に高い作品だったので、実写映画にしてどう変わるのか楽しみ半分でしたが、事前に期待したほどは活かされなかった印象です。
例えば主人公が死んだ幼馴染マリコの遺骨を奪いにいくシークエンス。まず営業を装って中に潜入するんだけど、原作だと3コマでコミカルに処理されてるシーンがそのまま映像化されてしまっているので、やたらと長く感じる(その分おばさんの良い人感は際立つが)。その後の遺骨強奪も、激しさが出る感じは良いんだけど、やはり漫画では非常に静の中に怒りの音が滲む名場面が少々大味になってしまった感じが否めなかった。

ただ、実写にしたおかげでマリコが抱える痛みの生々しさや、トモヨの必死さがより迫って感じられて、それはひとえに役者陣の好演とスタッフの演出の妙だとも思う。
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