このレビューはネタバレを含みます
本筋と関係ないどうでもいいことなんだけど、ミチさんはプラン75に申し込んで給付金10万円もらったわけだけど、結局死ぬのをキャンセルしちゃったわけだから、あの10万円どうなんだろ笑。
申し込む→10万もらう→キャンセルを繰り返せば、いくらでも稼げる。
かといって、キャンセルする際10万円は返金しろ、という場合、返金できない人は「死のキャンセル」ができなくなる。
そう考えると、あの10万はむちゃくちゃ怖いぞ。
まぁ、こんな意味のないことを考えてる時点で、私はまだまだ世俗的な人間なんだなぁ、ということで。
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ところで安楽死というのは、普通に制度として認められている国も多く、本作の世界観は“ディストピア”ではないし、大いに考えられる未来だと思う。
むしろ安楽死は人の尊厳を守るために必要な制度である、と私は思っている。
ただし本作の場合は、人の尊厳とかではなく、
「超高齢社会の解決策」としての安楽死、ということなので、目的の設定がおもしろい。
ただなぁ。
本作の場合はそのおもしろい設定があまり上手に生きてこなかったかな。
社会から孤立してプラン75を検討し申し込むが、オペレーターとの交流をとおして再び人生の楽しさを体感し、死の直前になって中止する老女。
老女との最後の会話に思わず泣いてしまうオペレーター。
プラン75の担当をするも、その制度に徐々に疑問を感じ始める役所の青年。
なんか、皆ありきたりなんだよなぁ。
叔父さんにしてもそうだけど、どうして「もう死のう」って状態になったところから人間関係が復活しだすんだよ。
そんなんズルい、未練が残るに決まってる。
もっとこう、
生きたいのに生きられない、生と死の狭間で揺れ動く極限の心理とか、
プラン75制度の是非についてドライな賛成派vs人情的倫理的反対派みたいな人間の火花散るような熱い討論とか、
そういうのが見たかったかな。
ラストの夕日のシーンも普通だよなぁ。
世界は美しい、そうだ明日も生きてみよう、ってそういう結論なんですかね。
それじゃあ普通すぎるかなぁ。