事前情報を入れず鑑賞した方が楽しめる作品かもしれないし、事前情報を入れた方がある程度覚悟できて見やすいかもしれないし…というような鑑賞者を選ぶ気がするホラーまたはスリラー作品。タイトル通りキャラクターにも鑑賞者にも「胸騒ぎ」をたっぷりと覚えさせる物語だが、私はハマらなかったかも🙄💦(140文字)
****以下ネタバレあり&乱雑文****
【注意】
ストーリー及び結末のネタバレが推測可能な記述があります。情報を一切入れず鑑賞された方が楽しめる作品だと思いますので、初見の方、特に鑑賞をする予定のある方はご注意ください。また、辛口です。本作品を好きな方もご注意ください。
◆あらすじ◆
デンマーク人夫婦のビャアンとルイーセ、娘のアウネスはイタリアの観光旅行にてオランダ人夫婦のパトリックとカリン、その息子で言語障害を持つアーベルと出会う。意気投合した彼らは旅行中に一緒に食事をしたりして親交を深める。旅行が終わってしばらくしてから、デンマーク人一家のもとにオランダ人夫婦より「次の休暇はオランダの田舎にある自分たちの家に泊まりに来ないか」と手紙がやってくる。少し不安に思うもせっかくの誘いを無下にはできず招待を受けることにする。そしてデンマーク人一家はオランダ人夫妻の家を訪れ歓迎されるが、一緒に過ごすうちにパトリックとカリンの強引だったり図々しかったりする行動にいくつも違和感を覚える。これはただ“考え方”や“作法”が違うだけなのか…?訝しい気持ちになりながらも滞在を続けていたデンマーク人一家だったが…。
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ネタバレ厳禁な作品と聞いていたので事前情報をできる限り忘れた頃に鑑賞。そのため勝手にどんでん返し系のスリラーかと思って再生ポタンを押しました。しかしエンドロールが流れた時にまず思ったことは「しまったー😑コッチのタイプだったかー。(精神衛生を保つために)パワパフガールズの劇場版鑑賞をこの映画の後にとっておけば良かったー😖💦」でした。
そんなにきっちり分けられない気もしますが、ジャンルにあえて分けるのならば不条理系ホラー、あるいはスリラー。制作側がしっかりとした意図をもってインパクトある〈胸糞系〉を目指した作品ではないかと思います。不穏感は冒頭から全力です。何でもないシーンですら思わせぶりなBGMが流れ、タイトル「胸騒ぎ」の通りどこからかで起きるだろう〈良くない出来事を想定させる〉ことについて隠そうともしません。そして私自身は、この緩急もなくただただ無音か大きな音で不穏BGMを流すようなスタートを受けて「あ~、私はこの映画楽しめないかもしれないな」と思ったのですが、その先入観が良くなかったのか結局その通りとなりました🤔💦
ストーリーはシンプルです。デンマーク人夫婦がイタリア観光旅行中に出会ったオランダ人夫婦と仲良くなり、旅行が終わった後にオランダ人夫婦から「我が家へ来ないか」と招待を受けます。それほど乗り気ではないも断る理由もないため、デンマーク人夫妻は娘も連れてオランダの田舎へ。オランダ人夫婦は歓迎しますが、一緒に過ごしていると妙に引っかかるところがいくつも発生。それが〈ただの無礼〉なのか〈他国との習慣や考え方の違いによるすれ違い〉なのかの判別がつかず〈不快感〉や〈胸騒ぎ〉を感じながらも滞在し続けます。しかしそのうちに思いもよらない展開に…、という感じ。とはいえ〈胸騒ぎ〉を60分以上同じ程度で持続するので、実際のところそれは「思いもよらない展開」でもないかもしれません。
冒頭に記載したように〈不条理〉で〈胸糞系〉として有名である本作。オランダ人夫婦の異常性が恐怖ポイントになりますが、彼らは〈不条理〉をそのまま擬人化したような存在であり、またこの映画が胸糞部分をエンタメとして全面に提示しているように思えるため、個人的にはこの点についてはさほどどうこう思いませんでした。彼らは事情も背景も描かれません。だからもはや「ギミック」という印象。娘ちゃんに起きる“あること”は非常に胸糞なのですが最大瞬間風速的であり、これがSNSのショートムービーで巡ってきても同じ最大瞬間風速で〈胸糞〉な気分になりそうです。石の件はもはやケラケラ笑ってしまいました。なんてすごい的中率🎯!
それよりもイライラとしてしまったのはデンマーク人一家の方。役どころとしては被害者となる可哀想な人たちなのですが、彼らの行動の不整合さというか、納得できない言動が多すぎて〈胸糞〉になるための共感性を深めるのに今一つ足りません。「相手に腹が立つけど文化や考え方の違いのためなのか判別がつかず、思い切った行動ができない」「一見では友好的な態度を示されているために、無下や拒否がし辛い」「被害者一家は事なかれ主義な一面が強く、特に父親は精神的に脆く決定打が打てない」「それらを理由にオランダ人夫婦はデンマーク人夫を観察して、しっかりとターゲットに絞ったのだ」などの要素は理解できます。しかしそれを踏まえたとしても、やはり鑑賞していて引っかかりが多すぎてスムーズに見ていられず…。
ホラーでもスリラーでもサスペンスでも、不条理系の作品はたくさんあります。今まで見てきた作品からのイメージでは、基本的には理不尽を受ける側が「一般的な」「一見最善を尽くした」「苦肉の上で」などの選択を懸命にするも、外部からの圧倒的な悪意によって叩き伏せられたり弄ばれたりして、無残にも失敗することで不幸に転がるのがスマートな気がしています。ターゲットたちが例え選択を間違えていても、その選択に対し共感や同情が生まれるほうが、よりキャラクターが受ける理不尽に対して悲観してしまうジャンルな気もしています。本作はその点ではあまりにもデンマーク人一家の行動が「なんで?」が多発しすぎて、ほとんどで白けたまま時間だけが過ぎていく感じでした。
この演出にも意図がもしかしたらあるのかもしれません。しかし私にはメタ的な提示も感じられなかったので、露悪的で不条理な胸糞エンタメに向かってそれを強調したいがために、ただただデンマーク人一家の描き方が歪な運びになっただけに映りました。石の件もエンドロールにずっと写っている絵画『ガニュメデスの略奪』についてもメタファー匂わせに見せて、きっと連想の理由はあるのでしょうか、それでも深い意味合いをあまり感じず…。
画的な衝撃に注力しているため強いショッキングさは確実にあれど、その実は濃度の薄い作品に個人的には見えてしまったかもしれません。
🐝💦「久々に辛口したくなる作品でした。デンマーク人一家の行動の意味の分からなさは止めどなく出てくる。うーん、100歩譲っても…デンマーク人夫婦が旅行で数日出会っただけで良く知りもしない他人の家に泊まって2日目に他人のベッドでヤるってどういう神経しているのだろう、とか。デンマーク人娘ちゃん大事なウサギという割に失くしすぎじゃない?とか…解せない演出が大量でした😑」