ほいほい

モエカレはオレンジ色のほいほいのレビュー・感想・評価

モエカレはオレンジ色(2022年製作の映画)
2.8
ストレートに言うと、こういうラブコメ映画って、今の時代にどう向き合うべきか?というテーマそのものを突きつけられた感じ。映画そのものよりも、その存在意義が面白いというか、映画をきっかけに業界や観客心理を読み解ける作品です。


主人公がイケメン消防士っていう設定が、もう露骨に狙ってる。笑
消防士って職業、命がけで働く姿が絵になるし、制服が映える。これ、完全に「女性客ウケ」を狙いに行ってるチョイスで、作り手の計算が透けて見えるんです。

さらにヒロインは、どこにでもいそうなちょっと冴えない女子高生。これも狙いとしては明確ですよね。観客が感情移入しやすくして、「普通の女の子がイケメン消防士に救われる」っていうシンデレラストーリーを体験させる構造になっている。ここまでテンプレ感が強いと、逆に作り手の「計算し尽くした安全設計」が浮き彫りになります。

そせて、それぞれのキャラクターがすごく記号的。主人公は「完璧なヒーロー像」、ヒロインは「普通の女の子の代表」みたいな存在で、ある意味ではわかりやすい。でも、そのわかりやすさが逆に物語の深みを奪ってる感じがします。


最大の問題は、この映画、何もリスクを取っていない、ってことです。安全に作られた作品なので、観客が「いい話だったなぁ」と思って帰れるように徹底的に設計されている。でも、それ以上の挑戦がないんですよね。

例えば、消防士という職業のリアルな葛藤とか、命がけで働く中で生まれる人間の弱さや苦悩。そういう部分をもっと描けば、映画としての深みが出たはず。でも、この映画はそういうシリアスな部分には踏み込まず、あくまでキラキラしたファンタジーを優先してる。
むしろキラキラしか目に入って来ない。

つまり、これは「映画」じゃなくて「商品」として考える合点がいくというか、腑に落ちるというか。
映画という枠組みをある意味で超えている作品です。笑
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