【隅っこ貝暮らし】
ディーン・フライシャー・キャンプ監督の2021年の実写とストップモーションアニメの融合作品
〈あらすじ〉
体長2.5センチのマルセルは、好奇心旺盛でおしゃべりな貝だった。祖母のコニーと暮らしていたマルセルは、ある日、引っ越してきた映像作家のディーンと出会い、人間の世界を知る。マルセルは離れ離れの家族を見つけようと、SNSに動画を投稿するのだが…。
〈所感〉
凄くユニークな世界観で、この世で鳥と同じくらい貝殻が好きな私にとって夢のような作品だった。自分の部屋に乱雑に置かれた貝殻にも本作のマルセルのように自我が有れば良いのになぁと思う。それじゃ『トイ・ストーリー』か。マルセルとおばあちゃんのコニーの素朴な借宿生活はまるで『借りぐらしのアリエッティ』のようでいて、マルセルはそんな静かで慎ましい生活を楽しみながらも、本当は離れ離れになってしまった家族達に恋焦がれている。ディーンとの出会いがきっかけで、動画投稿でバズり、影響力のある番組に出演し、家族の手掛かりを掴んでいく、というファンタジーに近い存在に対して現代的なアプローチがされていく優しい世界に終始微笑ましく見ることができた。ヤン・シュバルクマイエルっぽいブラックコメディ感もあり、ディズニーやジブリのような王道アニメ感もあり、ドキュメンタリーとしても見れる射程の広い、どの世代の方が見ても馴染みやすい作品だと思いました。でも、流石にタンスの中にあの量の生きた貝達がワチャワチャしてたら腰抜けてしまう。
「全てバラバラだと思っていたけどそこに立つと一つの大きな楽器になった。
自分は1つのピースではなく世界の一部だとね。」