サクチューン

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリームのサクチューンのレビュー・感想・評価

5.0
『僕自身がキャンバスなんだ』本作でデビッドボウイがいう放った言葉にに尽きる
題名や作品の説明が『一切書かれていない美術館』



グラムロックの先駆者として台頭し、ポピュラー音楽の分野で世界的名声を得たロックシンガーのドキュメンタリー。

デビッドボウイという男はロックシンガーとしての側面だけではなく、マルチアーティストとしても名を馳せ、奇抜でそして独特の世界観を持っていることで有名です。

ただ楽曲をよくよく聴いてみると時代に即している側面もあり、『奇抜さと平凡さを絶妙なバランスで保っている』稀有なシンガーだったんだなと思い起こされます…。
※楽曲を年代通して聴くと徐々にわかりやすくなっているような気がして。


と前書きはここまで、本作の話をします。

奇抜でありながら何かに駆られるように表現するデビッドボウイ、その彼を『無加工で画面に映し出す』ように本作は心掛けられていたように思います。
そのため彼がその時何を考え、何を表現したいためこのルックス・衣装を纏っているのか説明もなく画面に登場するので『まるで注釈やガイドの無い美術館をさまよっている』ような映画でした。

ただ、ボウイ自身も言っていた『自分というキャンバス』であるため、各ルックスは『その時本人が駆り立てられた気持ちに即しての表現』しているのかなと思うと『本人のドキュメンタリー』としてはとても大事な要素だと自分的に解釈し鑑賞を楽しみました。

一つ一つのルックスを理解したい方はデビッドボウイを勉強して鑑賞すると解像度も上がる気がしますね。

ただ、ここまでの私の文脈からすると『人物を勉強するということ』は少し違うのかもしれません、デビッドボウイという人の頭の中を予想するのはとても無粋である気もしますし…。

というような『人一人の頭の中の芸術を直視する』映画でしたので感慨深いようで、かゆいところに手が届かない良い映画でした。

ご鑑賞してみてはいかがでしょうか。