春とヒコーキ土岡哲朗

バイオレント・ナイトの春とヒコーキ土岡哲朗のレビュー・感想・評価

バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)
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律儀にバイオレンス。

どう見ても子ども向けじゃないのに、ファミリー映画の質感で作ってるのが面白い。
衣装・セットや撮り方、映像のタッチなど、ビジュアルが子ども向け映画っぽい。ストーリーも、小さな女の子が活躍して子ども向け要素が多い。でも、絶対に小さい子が対象にはなってないグロいシーンがいっぱいある。だから、子ども向けのファミリー映画としては絶対に作っていない。

別に全くファミリー映画っぽさなしでも、「こんなサンタクロースあり!?」って映画は作れたろうけど、ちゃんとファミリー映画っぽいのが良い。子どもが見ないのにわざわざしっかり子ども向けに作って、壊してる。


グロさにビックリした。

『ホーム・アローン』を前日に見た少女がそれをマネして強盗を撃退するところ。グロくて全然『ホーム・アローン』じゃねぇじゃねぇか!となった。
少女が仕掛けた罠自体は、『ホーム・アローン』と同じくらいなんだけど。映画のバイオレンス度を上げて描くと、同じことをやっても結果がここまで違う。

ただ、それで悪趣味な映画を作ろうというのではなく、ストーリーは「子どもを見捨てられないサンタが、期待に応えようとわざわざ面倒事に首を突っ込む」という優しい人間味の話。
だから、悪い人じゃないけどバイオレンス描写が好きで仕方ない人がこの映画を作るしかなかったんだな、というどうしようもなさも良い。