タクシーの中で92歳という高齢ながらも生き生きとしているマドレーヌの若い頃の出来事が語られていきます。
彼女の初恋や結婚、夫のDVに悩まされる過去、そしてその後の壮絶な人生が、強い印象として残ります。彼女が夫に対して取った行動には驚きもあり、裁判や服役といった経験が彼女の人生に大きな影響を与えていることが分かります。
この過去が現在のマドレーヌを形成しており、タクシー運転手のシャルルは当初、ただ仕事をこなすだけのつもりでしたが寄り道や小さな冒険を通して彼女の人生に共感し、心を動かされていきます。
撮風景は刻一刻と変化するものです。影で使われたパリの美しい風景は、彼らの心の移り変わりを反映するかのように使われているように感じました。映画の中でのタクシーは、単に目的地に向かうだけの移動手段ではなく、人生そのものの比喩として機能していると感じます。