インドの地図から消された要塞都市カンサール。
少年デーヴァと元首の息子ヴァラダは親友同士だったが、とある出来事をきっかけにデーヴァとその母の身が危険に晒され、デーヴァはカンサールを去ることとなる。ヴァラダに恩義のあるデーヴァは「何かあれば俺の名を呼べ、必ず駆けつける」と言い残してカンサールを去り、それから月日は流れ、王位継承の抗争に巻き込まれたヴァラダは、ついにデーヴァに助けを求めるが...
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ここ最近、今まで以上にインド映画に力を入れてくれている高崎電気館の秋のインド映画特集にて鑑賞。ブタクサにやられてゾンビ化してるので、今回はやむなく未見の一本だけ(「サーホー」はお家でリトライする)。
「KGF」の監督作だけあって流石、スケールがいきなりどデカい。
「KGF」ではインド国内に政府も知らない大都市が建設されていて、思わず「うぉ~!」と叫びたくなるほど熱くなったけど、今回の「サラール」も巨大な力を持つが故に存在が秘密裏になっている要塞都市(独自国家)が舞台となっていて、いきなりの規模にテンションが上がった。
国家元首の息子と下町の少年の熱い友情から始まり、大人になった少年たちが元首の跡目を巡る勢力争いに巻き込まれるという血と暴力のお話で、テイストとしてはインド・ノワール系の要素もあるかな?
インド・ノワールな映画といえば、私は「血の抗争」が思い浮かぶんだけど、インドの「ゴッドファーザー」的な「血の抗争」ともこれはちょっと感じが違くて「サラール」はなんていうか、重いテイストの時のDC映画みたいなエンタメ性のあるダーク&バイオレンスな映画だった。
首取り合戦が始まった国内は、さながらゴッサムシティのスラムばりに荒れに荒れ、各勢力の助太刀として様々な国の傭兵集団が登場した時は、思わず「絵面~!!!」って心の中で叫んだ。黒旅団やKGB反乱軍と言った集団がざっざっ!と背後から登場してきて、まるで何かの戦闘ゲームのワンシーンみたい。結局、この助っ人の活躍は全然ないんだけど、とにかく絵面の圧が良いのでそれで良い。
「バーフバリ」で有名なプラバース演じる主人公もとにかく鬼強く、かつて王を支えた人物にちなんで"将軍(サラール)"とあだ名が付けられて、これがタイトルにもなってる訳だけど、感覚的には将軍というよりさながら闘神。圧倒的強さ。
しかも見せ場の先頭シーンで使う武器が斧!!
殺活部の人々が謎にテンション上げ上げになる斧だよ!!
それを両刀遣い!!!Whoooooo!!
斧が頭にぶっ刺さる、足が飛ぶ、首が飛ぶというのももちろん、ある。
牛刀や棒で串刺しなんていうのもあった。
いまだに「インド映画って歌って踊るんでしょ?」って言われるけど、インド映画も幅広いので、この「サラール」みたいにゴリゴリのバイオレンスな映画も結構ある。むしろインド映画のアクションシーンは力加減と倫理観がぶっ壊れてるので、殺活好きは多分スカッと気持ちよくなれるやつ。
バイオレンスだけじゃなく、ノワールのエモさもしっかりあって、主人公の姿じゃなく影を映す演出がすごく良かったし、領主たちが身に着けてる腕輪によって投票が行われるのも何だかかっこ良かった。
インド映画の様式美的などんでん返し展開ももちろん、ある。
それが判明して「うぉぃい!これからどうなるんだ???」となったところで、エンドロールが流れ出した...つまりこれ、続編があるってコト?
いつもの如く、なんの前情報も仕入れず観に行ったら、まさかの続き物だった(原題にはちゃんとPart.1と書いてある、ありがちな罠ハマるガチなワナビー)。道理でまだ全然、刻印の話をしてないはずだ。そもそもこの1部って、まだ全然過去の話しかしてなかった。
まあ、続きものだとしても、今作はまず間違いなく続編も日本で公開してくれるだろうから、ど~んと構えて待ちます。しかもあの「KGF」の監督なら、1部以上に血が沸き立つ展開を用意してくれてると信頼できるので本当に楽しみ。