ひろぽん

M3GAN/ミーガンのひろぽんのレビュー・感想・評価

M3GAN/ミーガン(2023年製作の映画)
3.6
おもちゃ会社で優秀な研究者として働くジェマは、人間のようなAI人形「M3GAN(ミーガン)」の開発を行っていた。ある日、交通事故によって両親を失い、孤児となってしまった姪のケイディを引き取ることになったジェマは、子どもにとっては最高の友だちに、親にとっては最大の協力者となるようにプログラムされたミーガンにあらゆる出来事からケイディを守るように指示を出す。だがその行動がやがて、想像を絶する事態を引き起こしていく生成AIをテーマにした物語。


交通事故で両親を失った姪のケイディの心の傷を癒すために開発した生成AIの「Model 3 Generative ANdroid」通称「M3GAN」。子どもにとっては最高の友達として、親にとっては子育ての最大の協力者として活躍する最新型のAIロボット。リアルなバービー人形の様な容姿をした可愛らしい次世代のロボットが、想像も絶する様な暴走をしていく様子がとても恐ろしい。

気をつけなければAIに支配される世の中もそう遠くはないのではないかと、警鐘を鳴らすメッセージが込められているようにも感じた。

大人が子どもにスマホを渡しスマホに依存してしまうのと同様に、ケイディもまたミーガンに極度の依存をしてしまう。取り上げようとすると反抗的になり凶暴化し、攻撃的になる様子はとてもリアル。元々タブレットに夢中になり親の言うことも聞かないような依存体質の子に、目を見て話しかけ心の寂しさを埋めてくれるAIが居たらそりゃ依存するだろうなと思う。

ミーガンの危険性を察知しながらも、会社の一大プロジェクトだからといって勝手に中止するわけにもいかずプロジェクトが進んでしまうのが妙に現実的だなと思った。販売価格や開発期間の兼ね合いも合って、安全の考慮が不十分な中リリースを迫られる大人の事情とか本当に現実でありそうなのが面白い。


ミーガンが“死”について学習した時から自我を持ち始め、自分を守ろうとするのが人間みたいで興味深かった。

予告でもあったミーガンダンスは殺伐としている中なのに、思いのほかポップで面白い。ロボット離れしたミーガンの舞うようなダンスはキレキレで、ナイフを持ったら本当に恐怖でしかない。あらゆる機器に手を触れずに操ってしまうシーンはスマートで格好良い。

終盤で急にジェマとケイディの距離が縮まり仲が深まっている所に少し違和感があった。もう少し何かきっかけとなるような出来事が描かれていたら良かったと思う。


自分で制御できると思って開発したが、予想を超える想定外の行動が増え、徐々に日常が壊れていくのが見るに堪えなかった。自分の思い通りにならないと、壊そうとするのが人間の本質なんだなって思う。作中で登場したロボットのブルースのデザインが可愛くて個人的には結構好き。

想像していたよりもホラー感がなくポップで気軽に観れるので、ホラーが苦手な人にもオススメできる作品。
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