自分を保つための関係性。
投稿に時間がかかってしまい、本当に申し訳ございません。
私生活の歯車が完全に狂ってしまい、何も手につかなくなってしまっていました。
今日から通常通りとはいかないでしょうが、少しずつ改善していけたらと思います。
余談が長くなってしまいましたが、早速本題に入っていきます。
本作は、上記のような状態に陥った私にピッタリの題材で、随分前に観た作品でありながら鮮明に内容を思い出すことができました。
自分の価値や存在意義を考える時期は、人間誰しもあると思います。
仕事でもいいし、趣味でもいい。何か1つでも自分の中で生きていることの実利があれば、生きる権利を実感できる。人間皆皆がそこまで考えてはいないかもしれませんが、きっとそういった根源的な何かを求めて日々の生活に精を出しているのではないでしょうか?
もしもその答えとして、「自分より劣っていると思っている他者からの、最大級の好意(ひいては愛)」を掲げる人がいたらを突き詰めたのが、本作だと言えます。
生きる上で幾つかの軸があり、その殆どが自分の認められる領域にまで到達できておらず、唯一認められるのが他者依存のものであるという状況は、想像以上に過酷で絶望的なように感じます。
周りの人からすれば、1つでもあればいいと、他者からそれほど思ってもらえるのは幸せなことだと諭されるかもしれません。
でも、それほど人の幸せは単純なものではないと思います。
幸せにも、生きていることの実利にも、グラデーションが存在し、細分化された文脈があるのです。
ままならない日々は、人間の認識を鈍くし、安価な安寧に縋ろうとさせます。
無償の愛ほどコスパの良いものはなく、故に手放すことはできません。
唯一自分の裁量で動かせる幸せとして雑に扱うこともあれど、結局そこにしか拠り所がないため、離れそうになると下手に出るのです。
私は、本作のことを愛おしく思っています。
自分という存在の浅はかさ、愚かさが客観的な視点で見られ、翻って自分の行動をどうすべきかが見えてくるからです。
1本の作品としては、やや典型的、紋切り型と言われても仕方のないキャラクター、演出が使われており評価し難い箇所も多々ありますが、それでもそのアプローチを選択したからこその効果も随所に見られるため、一概に唾棄できるものでもないと判断をしました。
総じて、普遍的な人間の性を映像作品として見事に炙り出した佳作でした!