The Beatlesは音楽に革命を起こした。
この映画をある程度まで見たとき、一旦、自分にこんな思いが沸き起こった。私が7才の時に彼らは既に解散していたが、音楽に本格的に親しんでいった中学生時代、私はお金さえあれば彼らが残したオリジナルアルバムの全てを手にすることが出来た。しかし、中学生の小遣いではそれは難しく、年に一度くらいNHKのFMでやってくれていたThe Beatles特集をエア・チェックしたものだ。彼らの残してくれたオリジナルアルバムは絶対に裏切られない宝箱で、中学生の私は、少しずつ手に入るその箱の紐を解くことが楽しみだった。もちろん、他にもいろんな音楽を聴いた。Queen、The Carpenters、The Rolling Stones、etc。しかし、The Beatlesは特別だったような気がする。私が今までに1番多くレコード(CDや他のデジタル音源ではなく)で聞いたアルバムは「Abbey Road」で、このB面の「Because」から最後の「Her Majesty」は音楽のある一つの方向の極致だと思う。
そんな私だが、彼らがやったこと、起こった現象が、沸き起こった思い通りに革命だったか考えてみたくなった。
そのためには、音楽を定義しなくてはならない。音楽とは、旋律、リズム、この単体か組合わせとだと単純化出来るのではないか。とすればそれぞれを人が操るようになったことが音楽の起源ということになる。例えば、旋律ならば、鳥の囀りを人が声で真似たりしたのかも知れない。ここから始めて革命と言える出来事を推定するなら、まず、ハーモニーの発見が起こったはずだ。これは人の声で実現できる。次に楽器の発明。まず、口笛、木や骨を使った打楽器、草笛など。中でも弦楽器の発明はそれだけでも革命に近く、繊維から糸、糸から弦の飛躍は画期だったはずだ。まず、別の用途の素材からの応用がイノベーションであり、これが、単体の楽器で複雑多彩なコードを奏でることを可能にしたのだ。このレベルの革命は、それは、音楽そのものの変化ではないが、エジソンの蓄音機の発明を待つ。これ自体は、音楽に直接変化をもたらしたわけではないが、音楽を聴くスタイルに激しい変化をもたらしたはずで、それのフィードバックとして、音楽自体も変ったいったのではないか。この視点では、Wolkmanの登場もそれに継ぐと思う。
こんな考察をすると、The Beatlesが起こしたことは革命ではないような気がする。しかし、私にとってのThe Beatlesが宝箱の中の宝石であることは変らない。
私は、この映画に触発されて、音楽の起源や歴史を調べてみようという気になった。