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オットーという男のsoopenのレビュー・感想・評価

オットーという男(2022年製作の映画)
4.0
Filmarksが前半部分の設定とあらすじをほぼ網羅しているので、説明不要ですが…

若くして妻に先立たれた男、オットーには、不機嫌な人生を送るだけの理由があった。唯一続けていた仕事にも、その頑固で融通の効かなさ故、同僚に疎まれ退職に追い込まれ、ついに自己流で自殺の準備をするが、新しい隣人にいつもいいところで邪魔をされる。
隣人の名前はマリソル。ヒスパニック系で人はいいが、運転はてんでダメな優しい夫と、可愛らしい女の子2人の4人家族。この隣人の騒々しさ、他人を放置しておかない優しさが、グイグイ踏み込まれるプライバシーの領域にも少しずつ浸透していく…
子供の世話を任されたり、捨て猫を拾う羽目になったり、気付けば弱い生き物を守らされている!
自分の人生、なんだ、まだやることがあるじゃないか、仕方がない、生きてやるか…

オットーの青春、恋愛、偏屈になってしまった事情も徐々に明かされ、不器用な優しさが視聴者の胸にも染み込む頃、オットーはある決断をする。

人生の終盤に、プレゼントのようにやってきた人々(猫含む)との繋がり。でもそれは偶然でもなんでもなく、オットーが日々キチンとした生活を送り、ダメなものはダメと言い、危なかしい者には教えを惜しみなく与え、その仏頂面で多くの人々を救ってきたから得られた全幅の信頼。

もうラストは涙なしには見られませんでした。元よりトムハンクスの映画と涙は切っても切れない関係ですが、これは地味ながら良作。原作のスウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』も観てみたいです。
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