晴れない空の降らない雨

マイ・エレメントの晴れない空の降らない雨のレビュー・感想・評価

マイ・エレメント(2023年製作の映画)
3.6
 ピーター・ソーンの久しぶりの監督作。というか実質最初の。『アーロと少年』は尻拭いやらされたようなもんだし。
 『ズートピア』を彷彿させるテーマパーク的世界をせっせと構築しておきながら、お話は「仕事も恋愛も頑張るあなたにエール」的な超ありがちロマンス映画だった(シンデレラストーリーだし)。ちょいちょい唐突で強引で大雑把だが、まぁ取り立てて文句言うほどでもなく。
 
 エレメントたちのアニメーションがよかった。火・水・風のキャラクターはいつも何かしら動きがついている(揺らめいたり、泡があったり)。それと四元素の特性を生かした生活や行動、ジョークもいろいろと豊富に考えられている。冒頭で、飛行船から風エレメントたちが降りていくと、飛行船が萎んで落下し、下にいた風エレメントたちが乗るとまた膨らんで上昇する所とか面白かった。あとスポーツの応援で水たちが本物のウェーブをつくったり。こういう大量のアイデアは往年のPixar作品を思い出させる。
 火が被差別ポジションになるのも自然な設定に思うし、また差別描写もあまり極端でないのが安心して観られる。

 本作は、『トイ・ストーリー4』以来の非人間がメインキャラクターの作品だ。やっぱ3DCGアニメーションの醍醐味って、非人間キャラクターとそれを取り巻く世界の創造にあると思うので、そういう映像をPixarで久しぶりに堪能できて満足です。