『ベイビーわるきゅーれ』2作目
一緒に暮らしているちさととまひろは、殺しの腕はピカイチながら社会に馴染めずにいた。ジムの会費に教習所代、保険のプラン変更など、世の中お金がかかることばかりで、二人はまたしても途方に暮れていた。一方、殺し屋協会アルバイトのゆうりとまこと兄弟も上からの指令ミスでバイト代がもらえず、正社員ではない為どんなに働いても満足のいく生活を送れるだけのお金は得られず途方に暮れていた。そんな中、兄弟はちさととまひろのポストを奪えば正規のクルーに昇格できるという噂を耳にする。銀行強盗に巻き込まれたり、着ぐるみのバイトをしたりと、イマイチな生活を送るちさととまひろに、二人のポストを狙うゆうり・まこと兄弟が迫りくる。ちさととまひろが同業者の殺し屋兄弟に狙われる物語。
プロの殺し屋なのに世の中のあらゆるお金のかかる面倒い事に追われ貧乏生活を送り、自分たちの座を狙う殺し屋にも追われるという大変な状況に追い込まれてしまう、ちさととまひろ。
保険料の未払いやジムに行かないのに解約せずに会費の滞納したり、バイト中のガチ喧嘩、ちさとの将棋ギャンブル等、相変わらず社会不適合者っぷりがたまらない。
前作よりも規模としては縮小したが、ゆるい日常や小ネタ等のコメディ要素がパワーアップしていた。
本作を鑑賞前に『花束みたいな恋をした』や『溺れるナイフ』をたまたま鑑賞してたから、劇中のネタのシーンが全部分かって面白かった。
『花束みたいな恋をした』の菅田将暉の“じゃあさ、結婚しよう”の本来切ないシリアスなシーンの台詞がコメディと化していて物凄くいじられているのが笑える。
メゾン マルジェラ、コンバースのジャックパーセル、パズドラ、Filmarks etc.....様々な小ネタが畳み掛けるように飛び出してくる。若者の様な感性を持ったビジュ爆発おじさんの個性溢れるキャラが魅力的だった。
前作では牙を向けてきたヤクザを懲らしめる勧善懲悪という流れだったのに対し、本作は主役のヒロイン・ちさととまひろの対となるライバルの様な関係性のゆうり・まこと兄弟が2人の前に立ちはだかる。コイツらならあっさり倒せるだろうというような相手だったのに、最後まで苦戦して激アツの展開だったのが良かった。
ゆうり・まこと兄弟側にも不遇のストーリーを持たせる事で共感ができるようになっていたし、ライバルのような関係性がとても素敵だった。
1作目よりも掃除屋の田坂と宮内コンビも登場が多くて嬉しい。両者ともキャラが濃いのがまた良い。
ちさととまひろの気持ちいいほどの銀行強盗撃退や、ゆうり・まこと兄弟との定食屋での一悶着、着ぐるみアクション、最後の決戦など最後まで飽きさせないキレキレのアクションが炸裂していて楽しめた。
トラとパンダの肉弾戦は中でも斬新で面白かった。着ぐるみの中の2人の顔が映し出される演出が新鮮。
最後の決着が着いた後の楽しそうに話す4人の会話を見ると、やっぱり出会い方が違っていたら4人とも仲良くなれたんだろうなと思うと切なく寂しい気持ちになる。
ゆる〜い日常とシリアスな殺しのギャップがやっぱりたまらない。殺し屋としてON/OFFの切り替えが早すぎるのも良き。個人的には1作目より2作目の方が好きだった。