記録用
今泉力哉監督作品。
人の心の底に隠された本音や真実への葛藤や苦悩。
主人公の真木よう子演じるかなえは突然失踪した夫の銭湯を営んでいる。そこに井浦新演じる男が雇って欲しいと転がり込んできて、、、。
自分も好きな豊田徹也の「アンダーカレント」が原作である。
フランスで2000年以降に発行されたコミックのランキングで数々の世界中のコミックを押さえて3位にランクインした。
日本ではカルト的人気だが海外の方が知名度があるかもしれない作品。
原作、映画ともにメインビジュアルとなる主人公が水面に浮かぶ画だが明らかにミレイの「オフィーリア」をオマージュしたビルエバンス&ジムホールの「アンダーカレント」のジャケットからの引用だ。
シェイクスピアの「ハムレット」の登場人物であるオフィーリアだが最終的に水辺で溺死してしまうという今作の主人公の隠された事件や潜在意識下にしままわれてしまったいう意味でアンダーカレントという題名の意味としても象徴する画である。
主人公真木よう子、謎の男井浦新、そして夫の永山瑛太等の主要登場人物は全員秘密や本音を隠すように生きておりその葛藤に苦しめられている。
普遍的なテーマでありながらドラマ性を持ち合わせてさらにサスペンスのような不穏な空気が常に緊張感を与えてくるのが今作の魅力だが原作を損なうことなく漫画原作作品は原作にリスペクトを持っていない作品が多い中、忠実かつラストを良い意味でアダプテーションしていて好感が持てる。
原作は元々映画のような漫画とよく比喩されるが改めて読むと漫画的デフォルメも非常に多く日常パートが緩いコメディとなっているため不穏さとのギャップが緩急になっている。
映画ではその辺りの日常パートを時間的制約のため削りながらも本来のテーマに重点を置きラストを再解釈させるものに変更しさらに世界観が膨らんだ印象を受ける。
その違いを楽しめるので2度おいしいというのとリリーフランキーが当てがきなので探偵のキャラクターを比較するのも面白いかもしれない。