【サンダンス映画祭2022 ワールド・シネマ部門審査員特別賞】
フィリピンのマルティカ・ラミレス・エスコバル監督作品。サンダンス映画祭ワールド・シネマ部門に出品され審査員特別賞を受賞、シッチェス映画祭でもNew Vision部門監督賞を受賞するなど高い評価を得た。
引退した元映画監督のおばちゃんを主役にした奇想天外なアクションコメディ。設定でもう勝ち。面白かった。
監督は2010年代から短編やMVでキャリアを積んだ人物のようだ。ハチャメチャな物語を上手くまとめる手腕が見事。
映画の中に入ったレオノール、現実世界では昏睡状態のレオノール、どちらの世界でもドキドキしつつ笑える程よいバランスになっている。映画の中に入ってしまう主人公というのはこれまでもつくられてきた設定だが、主役をおばちゃんにしたというのがいい。
ざらざらとした質感の撮影や美術といったプロダクションのレベルも高い。物語としてもメタ構造が効いた刺激的なストーリー。ともすれば訳の分からない映画になりそうなところを見事にまとめ上げている。
フィリピンからまた刺激的な監督が現われた。日本ではあまり話題にならなかったのが残念。今後も注視していきたい監督である。