『「実写映画化」のもうひとつの形』
漫画原作、そのアニメ化。それらをベースにした実写映画化はあまたあります。それらをたいして観ていないので偉そうなことは言えないんですが、割と最近観た「ゴールデン・カムイ」実写版と比較してみたいと思います。
もともと原作からして体内細胞の話なので、それこそ医学的に間違ったことを描くわけにはいきません。なので、同じ監督の「翔んで埼玉」のようなぶっ飛んだギャグを入れる余地がありません。
そこで採用されたのが、実際の人間パート。原作で登場するのは体内だけですから、本作の発明はその持ち主を描いたことかと。そのパートで、ギャグもドラマも展開していきます。
しかも、健全な芦田愛菜と不謹慎にもほどがある阿部サダヲ親子という(マルモな)設定を活かして、原作とスピンオフの両立まで実現して。
個人的には、アルコールを分解して無毒化してくれる肝臓が、〇〇〇町の〇〇〇〇〇だというのがハマりました。しかも接客してくれるのが・・・。
あと、〇治療の数々は人体にとってこういうことだったのかと非常によくわかり、もう勉強になるなる。
「ゴールデン・カムイ」は、登場人物の超絶再現含め、原作・アニメを忠実に再現する作品でした。(なので、映画のレビューでは「予想の1/5の進捗スピード」というコメントも)
本作は、原作漫画とスピンオフ、それらのアニメ化作品の要素をきちんとリスペクトして、なおかつ人間パートを始めとするオリジナル要素を取り入れて1本の映画としてまとめあげるという困難な作業を成し遂げた作品だと思います。
漫画、アニメの実写映画化作品で成功している作品と失敗しているもの。その差は何なんだと考えたときに、やはり原作漫画、アニメ、そしてそれらを愛するファンに対する誠実な姿勢なんだと思います。
本作は、最初から最後まで、違和感とか嫌なところとか、全く感じなかった。観て良かったと思える作品でした。
【おまけ】
仕事で何十回と足を運んだ東京国際フォーラム。あれがあんな臓器の場面になるなんて、やっぱりクリエイティブな方の発想ってすごいです。