あなたを守って、はたらきます!
清水茜による同名漫画とスピンオフ作品である『はたらく細胞 BLACK』を、竹内英樹監督、永野芽郁、佐藤健等の共演により映像化したファンタジー・コメディ。
ヒトの体内で働く細胞の姿を描く。
原作は未読であり、アニメ版も未鑑賞と、ほぼ予備知識なしの状態で鑑賞。
主人公となる赤血球を永野、白血球を佐藤、キラーT細胞を始めとした体内の成分として山本耕史、仲里依紗、松本若菜、染谷将太、板垣李光人、加藤諒、海原はるか、深田恭子、片岡愛之助、新納慎也、小沢真珠、塚本高史、DJ KOO、Fukase、一ノ瀬ワタル等が演じているほか、芦田愛菜、加藤清史郎、阿部サダヲ、鶴見辰吾、光石研、遊井亮子が登場と豪華なメンバーが集結。
物語は、人間の体内にある細胞を擬人化し、その活躍ぶりを描くと同時に、現実世界における父娘のやりとりが進行していくのだが、細胞のみの話であれば完全なるファンタジーに振り切ってしまうところを、生身の人間を登場させ、その動きと細胞の働きをリンクさせるという脚本が素晴らしく、お子様ムービーかと思いきや、万人が十分楽しめる仕上がりとなっていたのは、期待以上だったところ。
何より、体内にある37兆個もの細胞を表現するため、約7500人のエキストラを動員したとされ、かつ細部まで作り込まれた映像は、キレのあるアクションも含めて、なかなかのクオリティとなっている。
加えて、説明的なナレーションが入ることもあり、細胞の働きを自然に覚えることができ、それぞれの役割を果たすべく、健気に動く細胞をついつい応援したくなってしまうことから、お仕事ムービーとしても文句なしで、教育現場で流れても違和感なしであり、それに見合ったキャスティングも絶妙。
クルマ好きの視点からすると、阿部演じる父親が運転するいすゞ・フォワードのナンバーが「1173」とサーファーが好むような数字であったことに加え、芦田演じる娘が終盤に乗り込もうとするクルマが、芦田自身がイメージキャラクターに採用されているスズキのハスラーで、こちらはそのナンバーが「1182」と「いいやつ」もしくは「いい歯に」と読めたのは見逃せないポイント。
キャストに関して永野と佐藤以外は、ほぼノーマークで臨んだところ、キラーT細胞役が山本耕史であったことにエンドロールを見るまで気づけなかったのが悔しかったとともに、この前日に観た三木康一郎監督『うちの弟どもがすみません』が不発で、畑芽育もあまりピンとこなかっただけに、永野を堪能することができた本作品は、口直しにピッタリだった良作。
同情するなら酸素をくれ。