「幼な子われらに生まれ」などの劇映画でメガホンをとってきた三島有紀子監督が初めて手がけたドキュメンタリー映画は、20人の役者たちが各自撮影を行い、新型コロナウイルス流行の第一波の中で彼らが過ごした日常をとらえ、全ての出演者に共通して「明け方に女の泣き声がどこかから聞こえてくる」というシチュエーションを挿入し、その時の感情の動きやリアクションを記録している。
日本では2023年5月8日から季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げられる新型コロナウイルスだが、その経緯を辿れば、2020年1月に日本で最初の感染者、2月には死者が出たことが発表され、世の中に不穏な空気が流れ始めた。
同年4月7日にコロナ対策の特別措置法に基づく緊急事態宣言が初めて発令されると、人々の生活は一変する。
都道府県知事は飲食店やスポーツジム、映画館やライブハウスなど幅広い業種に休業要請を出し、全国的かつ大規模なイベントは中止や延期などの対応が求められた。
そのなかには、映画の舞台挨拶、演劇公演、音楽コンサートなどもあり、エンタメ業界にとって未だ嘗てない事態となる。
スクリーンでご覧ください」
本作には、荒野哲朗さん、池田良さん、大高洋子さん、長田真英さん、加茂美穂子さん、小西貴大さん、小松広季さん、佐々木史帆さん、清野りなさん、田川恵美子さん、長谷川葉月さん、畠山智行さん、平山りのさん、舟木幸さん、辺見和行さん、松本晃実さん、宮崎優里さん、八代真央さん、山口改さん、吉岡そんれいさんが出演しているが、そこには、悲しいだけではなく悔しい人、肉親を亡くした人、仕事がなくなった人、会いたい人に会えない人、政府のやり方に対する怒りを持っている人等、様々な感情が渦巻いている。