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関心領域のsatoのレビュー・感想・評価

関心領域(2023年製作の映画)
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「贅沢させてやってるのに!バカ女!」
アウシュビッツの女王は、作中で最も醜悪に描かれる。それがこの作品を最もよく象徴している。

物語は起伏に乏しく、はっきり言って面白くない。そういうコンセプトなんだ。平凡なドラマは、醜悪な無関心を体現するための優れた方法だった。

ルドルフ・ヘスはラストシーンで現代に目を向ける。彼は我々をどう思っただろうか。
もし彼が安堵し、ストレスの溜飲を下げているのであれば、それは強烈なメッセージだ。



ちなみに本作で1番怖かったのは、スタッフロールのエンディングテーマだった。本編で抑えつけた阿鼻叫喚を、不協和音として最後に叩き付けてくる。
結構大きめの映画館で鑑賞したにも関わらず、スタッフロールスキップ勢が1人もいなかったのは偶然ではないはず。

最後に、単色のカラーバーに画面を切り替える演出が面白かったので触れておく。急に切り替わるものだから、直前の残像が残り、それが徐々に消えていく。
オープニングのタイトルと、中盤の花に対して使われていたと思う。どちらも凄く印象的だった。
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