“君は大丈夫、思った通りだ。”
最高だった。突然の父親の事故死。深い喪失感の中、苦しみながらも再生していく少年リュカとその家族の話。映画全体の冬のような凍えた雰囲気が、少しずつ溶かされといき、一筋の光が差し込むエンディングまでほんと良い。
主役リュカ役のポール・キルシェは“動物界”を観た時から大注目の俳優。顔立ちが綺麗なのは勿論、画面映えする表情と素晴らしい演技力、ヌードも完璧にこなしてしまう役者魂。そして彼を囲む母役ジュリエット・ビノシュ、兄役ヴァンサン・ラコスト、兄のルームメイト役のエルヴァン・ケポア・ファレ。この4人の演技合戦。大切な人を失った喪失感は計り知れないけれど、皆そこからそれぞれの方法で立ち上がる。兄の「親父の死を理由にするな」という言葉。沁みるなぁ。
リュカの抜け感のあるファッションがいちいちオシャレだったな、セーターにジャージとか。Tシャツにブリーフでも絵になってしまう恐ろしさよ。監督特有の強めの性描写も芸術に。
