銀幕短評(#762)
「北極百貨店のコンシェルジュさん」
2023年、日本。1時間10分。
総合評価 66点。
だれかに何かをプレゼントするとき、百貨店(デパート)は便利ですね。たいていのものが置いてあるから、あれこれと比べられる。客がヒトでない北極百貨店であれば、じぶんたち絶滅危惧の動物に合う商品がそろう店であれば、なおさら便利です。でもストーリー上も、オスばかりがメスに何かを買い与えるというのは、ヒトの猿まねかなあ。といいつつ、わたしも妻へのクリスマスプレゼントを準備しましたよ。赤ワインです。無難でしょう? あたま使わなくていいから。
百貨店文化(やビジネス)は、すたれてきていますね。通信販売が急伸してきているから。こうなると、コモディティ(一般商品)で戦うのではなく、差別化された独自のブランド商品、高級品、じっさいに手に取らないと選べない商品を品ぞろえしないと、百貨店には勝ち目がない。きょうわたしの家に、最寄りの○○百貨店の外商担当者さんが、先週 新しくベッドを2台買ったお礼をいいにきてくれました。外商カードを使うと10%値引きされるので、ネットなど ほかで買うよりも安くなる場合があります。あと、実際に寝転んでみないとわからないし。
主人公のコンシェルジュが 作中で、へんな日本語をいくつか使うのですが、わたしがいちばんひっかかる物いいは「お声がけ」です。この用法は最近むちゃくちゃ多いですね。むかしはこんないい回しは、あまりなかったと思うのですが。たとえば「のちほど お声がけいたします」などと、コンシェルジュの彼女はいう。読者のみなさんは それをていねいだと思う。でも、わたしの好みの語感でいうと、「のちほど 声をおかけします(あるいは、お声をかけます)」のほうがシンプルで自然なんだがなあ。「声かけ」というと、野球部の練習での声掛けや、町内会で火の用心の声掛けくらいの用法しか思いつきませんね。店員が客に対して、部下が上司に対して、使えることばでは まずないような気がしています。
ホテルのコンシェルジュは、むかしなりたかった職業のひとつです。お客の かゆい所に手が届くサービスを提供して、満足された顔を間近に見る。やりがいがありますよね。でもまずは 英語ができないとなあ。