【過去と向き合い前進すること】
“ピルグリム”で僕が思い出すのは、イギリスから新大陸アメリカに渡ったピルグリム・ファーザーズだが、ピルグリムは巡礼者の意味だ。
だが、元々のラテン語の意味は”放浪者”で、まあ、クイーニーに会いにいくためとはいうものの、旅の道中の困難や葛藤と向き合い心の中で彷徨うことを考えるとどこかハロルドっぽい。
映画「君を思い、バスに乗る」にしろ、「イーディ」にしろ、イギリスのお年寄りが主人公のロードムービーには結構心を揺さぶられたりする。
この作品「ハロルド・フライ」も同様だけれども、この作品は、ハロルドの過去だけではなく、過去も含めたイギリスの置かれた様々な状況を色濃く伝えるようなストーリーになっている気がする。
“揺り籠から墓場まで政策”が大きく転換し、現在ではその恩恵が受けにくくなっていたり、そのために自分の人生を無為に感じたり、或いは、若者の失業率が高まって目標を持てないものが増えたり、そして、それは決して移民なんかのせいじゃなく、政治の失敗なのに弱者にしわ寄せが行っていたり。
だが、なんだかんだで、イギリスの人々は優しく、助け合っていたりもする。
歩くことで直接的に何か解決できるわけではないが、前進するきっかけを掴むことが出来るかもしれない。
ありがとうを伝えたいとか、きっとなんでも良いのだ。
歩いて思い出すことがあれば、それを受け入れてみることもきっと大切だ。
そんなことを思わせてくれる作品だ。