【問いかけるもの】
よく、”その人の立場になって考えましょう”なんて言うが、人同士の話であって、動物や自然を対象にすることはペットでもない限りかなり少ない。
ストーリーの中で、エボラの話題が出てくるけれども、エボラもコロナも人間が過度に自然に分け入り破壊、開発した結果だろう。
この「動物界」は、感染症などの病気によって人間が”死”を意識するのではなく、動物に変態するのであれば、我々はどうするだろうかという問いかけをしているような気がする。
変態する過程で変態する自分は何をどう考えるのか。
周りは、人間が攻撃さえしなければ危害を加えることのない動物に対してどう対処しようとするのか。
変態する側は、そこで変態に気がついた時点でしか、生物や自然が人間によって危機にさらされていることに気がつく、つまり、そうでもしない限り何も気がつかないのだろうか。
人間は、元が同じ人種や民族だからといって、差別や迫害をしないなんてことはないだろう。
結局、少数者や弱者を追い詰めるしかないのか。
かなり突飛な設定だけれども、考えさせられることは様々ある気がする。
フランス映画を対象にしたセザール賞はよくこれを最高賞に選んだと思う。
エミールの微妙な変化は素晴らしい演技だと思う。