「虎だ! お前は虎になるのだ!」……と言ったらタイガーマスク🐯ですが、これもそんなお話(全然違う)。
人間が理由も分からないままさまざまな動物に変異するようになった世界で、母親が動物になってしまった息子とその父親の行き着く先は……というお話。
SF、ホラー、社会派ものなどいろんなジャンルが混淆した感じだけど、動物化の原因を探るような謎解きものにはならず、けっこう身近な物語として展開するところが特徴でしょうか。
核に置かれているのは主人公である父子の親子のドラマ。このふたり&母親の感情の往還をキッチリ演技込みでやっているところが自分的には一番よくて、ちゃんとまとまってて悪くないなーと。手堅い感触。
ただ、これは観る人によるかもしれないけど、現代の生きづらい人間社会に対して動物=自然を対置してるっぽい構図はわりとふつうで、そこまで捻った方に流れていく話でもないのでけっこう穏健ではあるような。未知のところへ飛んでくようなアイデア上の展開はないので、若干尺が長いかもーとは思ったり。
鳥人間とかカエルちゃんみたく、(快も不快も含めた)動物化にまつわる映像的な魅力がもうちょい多ければなーと思ったりはしましたが、でも鳥の人はけっこうよかったです。
その他だと、電話越しの叫びのくだりと、女性警官にまつわるエピソードが自分はちょっとよかったかな。
内容に関するぼんやりした「解釈」も含めて、残りはネタバレコメントに(そっちのほうが長いかも)。