エジャ丼

リトル・ワンダーズのエジャ丼のレビュー・感想・評価

リトル・ワンダーズ(2023年製作の映画)
4.1
「子どもにかかればお手のもの」

アリス、ヘイゼル、ジョディの悪ガキ3人は、今日も最新ゲーム機を盗み、遊ぶ気満々だった。しかし、肝心のテレビにロックがかかっており、パスワードが必要に。母親からの交換条件としてブルーベリーパイを振る舞う約束をした3人だったが、生卵を手に入れるための冒険が始まり…。

Filmarksから試写会で鑑賞。サプライズで監督が登壇!独特の人柄で面白い方でした。長編デビュー作ということで、今後がすごく楽しみ。

16ミリフィルムで綴られる少年少女の大(?)冒険。あらすじに魔女だのなんだのあるし、ファンタジーなのかなんなのかよく分からない感じだったが、う〜ん、例えるなら、敵がポンコツな大人のストレンジャーシングス、、かもしれない。

当たり前のようにバイクに乗ったり、盗みを働いたり、見た目はそんなことないのに、やってることは正真正銘の悪ガキたちは、あと一歩のところで生卵を手に入れることができず。スーパーで卵を取られてしまったおじさんの後を追うと、何やら不思議な家族がいて、アリスたちはなんとかして卵をゲットしようとする。この大人たちがどうも抜けていて、でも子供からしたらちょっと怖い。このいい具合の塩梅が、いい意味でのフィクションっぽさを生んでいて、子供達の非行っぷりも“物語の設定”としていつの間にか受け入れることができる。楽しいフィクションとして。

流れる音楽のレトロ感とは裏腹に、スマホが普通に出てくる現代感、一方途中で出てくる悪い大人はヒッピー風で、時代背景があんまり読めない=関係なくて、子供の大冒険の雰囲気作りにそれぞれの要素が一点集中されていて、でもそれらが全くノイズになっていないから不思議。フィルムの雰囲気も最高で、往年の少年映画の要素を含みながら、ふわふわとしたファンタジー感も味わえる、懐かしくて新しい、そして楽しい作品!