ワンコ

違国日記のワンコのレビュー・感想・評価

違国日記(2023年製作の映画)
5.0
【再構築】

なぜそんな考え方や行動を取ってしまうのか自分自身でも分からないことは、それなりにあったりする。

この「違国日記」は、「海街ダイアリー」っぽさもあって、僕はつくづくこんな感じの作品が好きなんだなあと改めて思った。

漫画が原作というところも同じだけれども、小説ではなかなかテーマになりにくいところを作画とともに描いてみるところは、本当に日本の漫画の良さだと思う。

そして、「再生」をテーマにした作品は結構あると思うが、そこまでしなくても、自分たちのチグハグなところをよく考え直して、そして並べ替えて「再構築」する感じのストーリーも良い。大上段に構えずどこか控えめな感じが良いのだ。

それと「海街ダイアリー」は綾瀬はるかさんに惚れる映画だったと思っていたけれども、「違国日記」はガッキーに惚れる作品だ。

(以下ネタバレ)

そして、これら二つの作品には、夏帆さんが重要な役どころで登場するのも同じだ。

「海街ダイアリー」で、僕にとってのクライマックスは、夏帆さん演じる三女が四女のすずに「今度お父さんのこといろいろ教えて。自分が本当に小さい頃に出ていってしまったから、どんな人か知らないんだ」と話す場面だ。
僕はここで涙が溢れた。

そして「違国日記」では、夏帆さん演じる醍醐奈々が、槙生がどうして小説家になったのか、その一端を話す。

これは、槙生が朝を引き取った理由そのものじゃないのか。

それに、朝の考え方や行動も槙生の考え方や行動も実は似ている気がする。

実は似ている者同士で分かり合えないことも多いのだ。

過剰に家族の結束を強める必要なんてない。
わざとらしいだけじゃないか。
さりげなく相手を尊重し、さりげなく助け、さりげなく笑ってあげる。

そんな関係は本当に良い関係だ。
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