このレビューはネタバレを含みます
タイトルの感じからしてもっとコメディっぽいのかと思ってましたが結構シリアスな話でした。
この作品、まず「ほや」をテーマにしてるのが好きでした。冒頭の「君の脳みそはなくなっていないかい?」からして面白くて掴みが最高ですし、「何かにしがみついて、そこから動けない人たち」のメタファーとしても適切でした。
メインキャラが5人と少ないのですが、それぞれみんな心根は優しいのに、ほや的に何かに縛られていて極端に他人に攻撃的になったり素直になれなかったり、自分の本当にやりたいことができないという状態になっていて、なんかリアルな感じでした。
ちゃんと最後にみんなそれぞれ自分を縛っていたものから解き放たれるのも美しいです。ほや状態の解除、まさに「さよならほやマン」です。春子さんがほやマン装備した時は「お前かい!」とは思ったんですが、そのくらい自由になったって演出で良かったです。
そういう意味ではラストに美晴が島を出てしまったのは、ハッピーエンドと言えるのか?とも思いましたが、美晴は美晴でもはや何に縛られるでもなく自由にどこに行ってもいいんですよね。そういう点もしっかり徹底していて物語として非常に好みでした。
ただ、この5人にフォーカスが当たりすぎてて、捨てキャラがいない代わりに島全体からメインキャラ以外の気配が全然感じられず、なんだか荒涼とした雰囲気があるのは残念でした。
でも素直にいい話だったなと思える映画で、序盤の美晴の態度もだんだん「彼女はそういう言い方でしか他人とコミュニケーションできないんだ」と思えるようになってきます。美晴の序盤の印象はマジで最悪だったので、でもそこで挫けず最後まで見てほしい作品でした。おすすめです。