あらすじ：孤独の痛みを知る人は、犬を飼ってみて。そうすれば、人に優しくなれるかも。
女装した血まみれの男が拘留された。乗っていたトラックの荷台には、何十匹もの飼い犬。犯罪の痕跡は無い。彼は一体何者なのか…というお話。
家族に拒絶され、社会に拒絶され、暴力と孤独の激痛に耐える日々を過ごす人へ贈られた、繊細なダークファンタジー。
世界に何度も捨てられたダグを、唯一愛してくれたのが犬。また、犬たちにしてもそれは同じだった。犬は拒まないし、差別しないし、愛したら必ず愛してくれる。いつも甘いわけじゃない（からこそ共同生活において己が変化を試みて成長できるんだけど）人の愛に慣れるまでは、犬の愛がセラピーになり得るんだろう。
痛みを知る人は、人の痛みに寄り添える。人の痛みに寄り添えば、自分の痛みを癒やせることがある。ドラァグクイーンやエヴリンやダグの優しさは、儚いが泣けるほど清い。
