漱石枕流

陪審員2番の漱石枕流のレビュー・感想・評価

陪審員2番(2024年製作の映画)
4.3
裁判員制度が始まったとき、世間では否定的だった。SNSでも拒否したいという声が多かった。しかし、私はまったくの正反対。「ぜひ自分を選んで欲しい!」そう積極的に思った。が、未だに名簿記載通知すら送られてこない。

しかし本作に出てくる裁判長によると、どうやら私のような人間はお呼びではない。むしろ上に書いたような「選ばれたくない」という人の方が向いているというのだ(その理由を知りたい方は本作の序盤のシーンを参照)。

映画そのものは、悪夢のようなシチュエーションを描く。なにせ自分が陪審員を務める裁判で「まさか真犯人は、この自分では?」という疑念が浮かび上がってくるのだから。

これは真に究極的な〝究極の選択〟だろう。もし私が彼の立場だったらどうするだろうと、かなり真剣に考えさせられた。この設定が優れているのは、自分自身にも事件の真相がわからない、という点である。

よって本作が描くのは、法律的な問題よりも人間が持つ良心の問題だ。もし、それがなければ、むしろありがたいくらい都合のいい状況なのだから。だが一般的な市民は、他人に濡れ衣を着せることなどできないと考える。

日本でも冤罪が問題になっている。果たしてそれら事件の真犯人は、自分の身代わりとなって服役している被告をどう見ているのだろうか? この映画を観て、そう思わされた。

[オリジナル音声+日本語字幕]2024/12/21 U-NEXT


P.S.陪審員の中に医学部の女性がいてKeikoと呼ばれていた。エンドロールではChikako Fukuyamaと出ていた。私の知らない名前だが、日系人女優のようだ。
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