【自由】
アメリカの自信に満ち満ちた時代が崩壊していく様を感じるような作品だ。
実は、ベニーやジョニーは自由のメタファーであって、自由が暴力に取って代わられるような感覚を覚えた。
映画「イージー☆ライダー」は、ヒッピー文化なども交え、ヴェトナム戦争がアメリカ社会や当時の若者に影を落とした様が描かれていたと思う。
この「ザ・バイクライダーズ」でも終盤に少し話題として取り上げられるヴェトナム帰還兵は、拠り所やトラウマに問題を抱えていて、敗戦が濃厚になるにつれて社会不安が拡大し、それまでのルールがルールじゃなくなっていったことが表現されているように思える。
これは、現代社会が直面する問題のメタファーでもあるんじゃないのか。
民主主義国家の拡大。
息を潜めていたならずもの国家。
強要される先進民主主義国家の考えたルール。
反発する発展途上国。
ならずもの国家の連携と拡大。
そもそも、ならずもの国家と呼称されることも良くないのかもしれない。
分断。格差。温暖化。ネット。ネチズン。AI。トランプ。マスク。
先の見えない世界は、この時代も同様だったんだろうなと、そんなふうに感じて、なんか辛くなった。
ストーリーはよく知られたことなので、さほど目新しさはないけれども、ベニーが最後に選んだのは自由だったのか。
そう、これも自由なのだ。