【SEな世界】
僕は、言葉の意味や文章の脈絡をかなり気にする方だ。
この作品は、中学生を主人公に、自分たちや、それを取り巻く大人の社会がどんななのか、とても辛辣な皮肉も込めて作られた作品なのだと思う。
まあ、面白いか面白くないかは別にして……ね。
それに臭いを嗅ぐ場面は生理的に僕は受け付けなかったけどね。
この「地獄のSE」の”SE”とは、システム・エンジニアリングのことじゃなくて、おそらくサウンド・エフェクトのことじゃないかと思う。当たり前か!?
この中学生たちが話す言葉や内容は、脈絡がおかしかったり、論点がズレたり、話しが飛んだり、おかしげだ。
ただ、気持ちは分かる気もしないではない。
しかし、何らかの気持ちの変化を、大人も含めて誰も気にしていないように見えるし、当の中学生達も自分自身の気持ちだけが前に出てしまって、ぜんぜん噛み合っていないのだ。
そう、まるでSEを誰も気にしないと同じような感じじゃないか。
そもそもが色々なことに無関心でもあるし、ある種の臭いに執着するのは妙な個人的なフェチを表しているんだと思うし、他人事なんてどうでもいいってことのようにも思える。
大人が、中学生の恋愛(同性愛も含めて)なんて…!ってバカにしてるのも実は似たようなものかもしれない。
本人たちにとってはとても大切なテーマだし、心は苦しいのに。
そして、もうひとつ怖いなと思ったのは、途中から気になっていた、教室の机の花だ。
多くの生徒が亡くなっていることを示唆しているのだが、花を飾っても周りも心から気にしてる様子はない。
中学生にとっても自殺は当たり前のことになっているんじゃないかと背筋が寒くなる気がする。
大人は本当に子供の命に真剣に向き合っているのか。
まあ、ただ、映画としては意図した演出なのかもしれないが、全体として雑な感じがするは僕だけじゃないと思う。
そして、メッセージとしてこれが届くのも決して容易じゃない気もする。