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花嫁はどこへ?のさくらんぼのレビュー・感想・評価

花嫁はどこへ?(2024年製作の映画)
5.0
フォロワーさんたち皆さん絶賛だったので映画館へ。

インド特有の宗教と慣習を学んだり、男女格差女に怒りを覚えたり、絶望したり、働くことの喜びを思い出させてくれたり、ハラハラさせられたり、ほっこりしたり、笑ったり、じんわりと涙したり、もっと泣いたり、いろんなことが盛りだくさんだった作品。これがインド映画お得意の3時間じゃなくて124分にまとめられてたのがすごい。

終わってから拍手が起きた作品を観たのは久しぶり。映画館で観られて良かった。多くの人に観てもらいたい作品。
レビューをあげてくれた皆さんありがとう。


以下内容に触れます。




















婚礼衣装をまとった花嫁2人、「プール」と「ジャヤ」がそれぞれの花婿の実家に向かう列車に乗り合わせる。

携帯電話もそんなに普及してない時代。
ぎゅうぎゅう詰めの電車内。
ベールで顔を覆い隠して移動する花嫁たち。

違う花嫁の手を掴んで電車を降りたことに気づいてパニックになるプールの夫ディーパク。
何駅も先の駅で夫がいなくなっていることに気づいて途方に暮れる花嫁プール。

それぞれ違う夫、違う場所に連れて行かれた二人の花嫁はどうなってしまう?
その花婿たちの周りの人たちの反応は?

コミカルで風景がきれいで、初めて見るインドの花嫁が嫁いで行く様子が映る冒頭から何だかワクワク。
そこにサスペンス要素が加わってグーっと引き込まれていく。

二人の花嫁が対照的。
自分の生まれ育った場所の名前も忘れてしまうほど世間知らずであどけないプール。
夫を信じて待って、夫を支えたいと結婚に夢見ている。
迷子になった先でも温かい人たちに守られて軽食屋を営む女主人から多くを学んでいく。働くことの喜びを知った瞬間が素敵だったし、この出会いは彼女のこれからを大きく広げてくれたに違いない。そして、彼女の純粋さもまた周りの人たちの心を変えたと思う。

一方強い意志を持った顔つきで、ミステリアスなジャヤ。
行動が怪しくどんな人なのか掴めない。
でも彼女の謎が解明されたとき、全てが繋がって彼女を応援せずにはいられない。

いい映画は愛すべき人がたくさん出てくる。
諦めずに妻を探し続けるディバーク。
一生懸命それを手伝う友だち達。
婿の嫁を待つ家族。
厳しくも温かくプールに接する女店主とホームレスの男の子。
そしてそして、一見悪徳警官に見える警部補マノハル。
彼がいないとこの映画は成り立たない!

インドの問題点を提起しつつ押し付けがましくなく、女性の自立を促し支えている作品。
アーミル・カーンが製作に大きく関わっていると聞いて納得。

妻は夫の名前を口にすることができないはずなのに、最後の駅でのシーンでの叫びにジーンときた。こうやって必要ない慣習は消えていけばいい。
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