私が初めてインドの花嫁に興味を持ったのは、小学校に入るか入らないかくらいだったと思う。父の友人が世界を旅して来て、特にインドに惹かれたというので写真を見ながら色々な話を聞かせてくれた。赤いベールを被った花嫁が鮮烈な印象で、当日まで相手の顔を見ないで結婚することもあると聞いて本当にビックリした。
この映画の舞台は2001年ではあるけれど、花嫁が赤いベールを被って顔が見えないというのは、まさに私の記憶の中のインドの花嫁そのもの。急速に発展しているインドでもこんな感じなのか〜、結婚という伝統の慣わしは今も昔もそう変わらないのかな〜、などと思って見ていると、顔が見えない故に花嫁を取り違えるという奇想天外なストーリーにビックリしつつも、あり得ることなのかもと思ってしまった。
アーミル・カーンにハズレなしという私の中の神話は今回も崩れることなく、しかも監督が元妻いうことできっと監督とプロデューサーが夫婦関係は解消しても良い関係だからこそ、素敵な作品が出来たのだろうと思う。
ベールの下は顔も性格も全然似ていない2人の花嫁だが、根っこの部分はインドの伝統や家父長制に翻弄された女性というところで同じ。取り違えられたことで悲劇のヒロインではなく、前向きに自分の人生と向き合って運命を切り開く姿は、全ての女性たちへのエールとなり、明るい気持ちにさせてくれる。
花嫁2人や屋台の女主人、花婿やその友人、家族と魅力的な人たちが沢山出て来るのだけど、警察官に全て持って行かれてしまう感じも面白かった。