ジャン=リュック・ゴダールの初長編監督作で、後の映画界に大きな影響を与えたヌーベルバーグの記念碑的作品。
原案はフランソワ・トリュフォー。
原題:À bout de souffle、(英)Breathles (1960)
ミシェル(ジャン=ポール・ベルモンド)は、マルセイユで車を盗みパリへ向かう道中、白バイの警官を殺して指名手配される。
彼は、3週間前ニースで知り合ったアメリカの留学生パトリシア(ジーン・セバーグ)にパリで会い懸命に口説きながら、イタリアへの逃亡を画策する。
ミシェルの罪を知った後、パトリシアは共に逃避行するが、"自らの愛を確かめるため"ある行動を取る…。
「田舎は美しい。フランスは大好きだ。海が嫌いなら、山が嫌いなら、都会が嫌いなら、クソ食らえだ!」
「悲しいかな!悲しいかな!愛する女は首すじが美しい。胸が美しい。声や手首も美しい。額も美しい。膝も美しい。なのに度胸がない」
「ブラジャーをしたほうがいい?」
「悲しみなんてくだらない。無を選ぶ。良くもないが、悲みは妥協だ」
・ c’est vraiment dégueulasse
「本当に最低だ」
・ Qu’est-ce qu’il a dit ?
「彼は何て言ったの?」
・ Il a dit : Vous êtes vraiment une dégueulasse
「あなたは本当に最低な女だって」
・ Qu’est ce que c'est dégueulasse ?
「最低って何のこと?」
オルリー空港でパトリシアが取材する小説家(ジャン=ピエール・メルヴィル監督)との問答にも注目。
演技指導も台紙(セリフ)も事前にない即興演出、
オールロケでの自然光によるハンドカメラでの撮影、
街頭場面での隠し撮り(音声はあとで吹き込み)、
俳優に寄り添うようなクローズアップ、
フィルムを少しずつカットして編集したため、カットとカットがつながっていない「ジャンプ・カット」というテクニックなど、
映画の文法を打ち破る技法で製作された。
ゴダールは後に「この映画は、死を考える青年と、死を考えない若い女性の物語だ」と語っているようだが、(時代を反映した)現実的でクールな女子学生とモラルに縛られずに生きる男のどこか虚無感の漂うライフ・スタイル(やファッション)は、今の若者にどのように映るのだろうか。
当時新人のジャン・ポール・ベルモンドと(「悲しみよこんにちは」に出た)ジーン・セバーグは魅力的に映るのだろうか?