元空手部

西湖畔(せいこはん)に生きるの元空手部のレビュー・感想・評価

3.7
茶畑とその周辺のショットとマルチにハマるシークエンスではショットはその性質が明らかに異なる。
ドローン撮影によるどこまでも稠密なショット、フォーカスを執拗に繰り返す母と息子の会話のショット等、茶畑周辺のショットは複雑だ。対して、マルチ関連のショットでは、ポップ映画から拝借したかのような演出が多く、フォーカスについてもクリアーで規則的で単純化されている。
ところが、ラストシーンに近づくにつれてこの両者が合致したかのようなショットが増えていく。神秘主義的な情景はクリアーなフォーカスになっている等など。
ここに、一種の弁証法が起こっていると言っても良いのかもしれない。
本作に漂う全体的な煮えくらなさを、現代中国映画の様式に当てはめられるとしたら、この先にある作品群が楽しみで仕方がない。
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