しんちゃん

ゴンドラのしんちゃんのレビュー・感想・評価

ゴンドラ(2023年製作の映画)
4.0
珍しい「無科白映画」。
しかし科白がないのにこんな豊かな表現が可能なんだと驚きました!

ジョージアの片田舎にあるゴンドラに毎日搭乗する二人の女性乗務員。
二人とも何がしかの事情を抱えている様ですが、そんなことには構わず、日々単調な仕事を素晴らしい想像力と創造力で彩っていきます。
ある日はゴンドラを改造し、船🚢に見立てたり、ゴンドラに乗りながらバイオリン🎻やトランペットを演奏したり!
極め付けは日頃ゴンドラ🚡に乗りたくても乗せてもらえない車椅子の老人をワイヤーで吊るして運んだりします。
そんな二人の交情と微妙なすれ違い、乗客の住民や子供たちとのエピソードなど科白がないのに饒舌なほどに表現されます。
もう1人の主要人物であるゴンドラの管理人は徹底的に反ジェンダーの悪役として描かれますがなぜか憎めません。

そして、そんな意地悪オヤジに対して、ある夜ついに二人は「叛乱」を実行!
お金をゴンドラからばら撒き眼下の村人たちと饗宴を開くのです。
花火が上がり村民達が奏でる音楽が鳴り響くそのシーンの幻想的な美しさ!
やがて二人はゴンドラステーションを後にいずこかに去っていくのです。

単調な日常も想像力次第でこんなに豊かになり、言葉がなくても人は交じりあい信じ合える、そんなことを感じさせた作品でした。
音楽もとても素晴らしく印象に残りました。
しんちゃん

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