劇場2024-63 DENKIKAN
台湾作品
結論から申し上げると、凄く良い作品。
ストーリー展開や登場人物のやり取りも焦ったいし、仔細を語らず、役者の表情や、セリフの行間を読め!と言った演出なのだが、妙に嵌る!肌に合うというのかなんとも言えない気分となる作品。
台北郊外の借家に父と暮らすリャオジエは、いつか父と共に家を買い理容室を開業したいという夢を持つ。しかしそこに台湾のバブル景気がはじまり土地は高騰。これまでの蓄財ではその夢が叶えられない。
そんな中リャオジエは成り上がりの家主シャと出会う。老狐狸(古狐:オールドフォックス)と言われるシャはなぜかリャオジエに興味を持ち、その哲学を説く。
リャオジエは彼なりに考え、シャに家を安く売って欲しいと懇願するも、、、うまくいかず、さらにある出来事による変化に乗じてもう一手を打つ!
とここから話が急展開、、、というかドロっと展開する。
この作品は、リャオジエと老狐狸の間で語られる、人間の持つ他者を「思いやる心」と他人など知ったことかと「出し抜く心」の葛藤と、その心が人にどう現れるか、を詩的にかつ叙情的に感情的に、丁寧に描いているから、寄り添って来るような気になるものなのだろう。
リャオジエと父とシャの縁も、
バブルで散ったリンさんと少佐の関係も、
悪ガキvsリャオジエの関係の変化も、
悪ガキの母親だった女とリャオジエの出来事も、
美人のお姉さんとリャオジエたちの関係も、
名前忘れたけど社長夫人(門脇麦)とリャオジエパパとの切ない関係も、、、
全てが実は「思いやり」>「出し抜く心」
と伝えたくて描かれている。この手法が詩的であり、叙情的であり、感傷的でもある。
良いなぁ、、、こういうの!
ラストに至るリャオジエと父の後ろ姿!
ぜひじっくり味わっていただきたい。
そして最後の件、成長したリャオジエと老狐狸の関係性の繋がりもこの作品のまとめに相応しいポエティックな表現で素敵でありました。
佳作!