銀幕短評(#761)
「ときどき、死ぬことを考える」(原題)
2023年、アメリカ。1時間33分。
総合評価 72点。
ホラーっぽい 恐そうなジャケ写ですが、まったく そうではありません。かなりシンプルなドラマですよ。おそろしく内気な女の子(彼女はなぜか じぶんの死を つい夢想してしまいます)が、しだいに人間関係を結んでいくという。
彼女、美人ですね。ほほえむと特に(ほほえみの大切さは「ロボット・ドリームズ」72点 で再確認しました)。どこかの有名映画で なんどか観たけど、どれだったかなあ。たしかもっと若かったかな。でもいまも十分に若いな。
わたしはアメリカに4年間住んでいましたが、西洋のほうがうまく機能している慣習が ふたつあると思います。ひとつは握手、もうひとつはハグ(抱擁)です。日本人は きめこまかいコトバの綾(あや)のちからで相手を組み伏せて きもちを伝えますが、西洋人はそういう器用な芸当ができないので、直截(ちょくさい)に、握手やハグでむやみにボディタッチします。いやな相手とボディタッチをすることはもちろんイヤですが、親密なひとや これから親密になるかもしれないひとに、さりげなくタッチすることは、その親密さがぐっと増す気がして なかなかいいものですよ。日本でも流行らないなあ。
ハグについては、ロバートデニーロの「みんな元気」80点 で、さらにくわしく書きました。「ラッキー」48点 では、主人公がハグした瞬間に その映画を観終えたほうがいいと いいました。この映画では どうでしょうか。
でもあそこは たいそうな寒村ですね。太平洋(アメリカ西岸)の海に面した。シアトル(ワシントン州、ほとんどカナダとの国境)から遠く離れているといっていました。でも、サンフランシスコ(カリフォルニア州)よりはずっと寒そうだ。ということは、ずばりオレゴン州のどこか とんでもない田舎町ですね。オレゴンの州都は清潔なポートランドです。アンドリュー・ヘイの「荒野にて」77点 という映画で、主人公の男の子は そこからはるかワイオミング州を目指しました、一頭の馬とともに。なんと勇敢だなあ。
わたしもかなり内気ですが、ひとまず 正直な人間で いたいですね。かれらふたりのように。感じたことを素直にいえる。