Jun潤

映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記のJun潤のレビュー・感想・評価

3.6
2024.08.10

毎年恒例シリーズ。
昨年は3DCG作品だから夏公開だったのかと思いきや今年も夏の映画公開。
春は競合が多いしもうこのまま夏映画で定着してもいいんじゃないですかね。
そして今年はついにしんちゃんにも恐竜フィーバーが。
おいおいそれはないんじゃないのとか言われそうですが、映画一作目から舞台はパラレルワールドだし、宇宙に行ったり宇宙人が来たり戦国時代にも未来にも行ったし、個人的にはようやく恐竜かといった感じ。
まぁ恐竜といえばドラえもんなイメージも強いですし、今作ではしんちゃんらしさを強めに出して欲しいところですね。
監督・脚本は昨年に引き続き映画クレしんには初参加のコンビ。

現代に蘇った恐竜と出会える「ディノズアイランド」が東京にオープン!
幼稚園が夏休みに入ったしんちゃんも行きたがるものの、父ちゃんの仕事の都合でなかなか遊びに行くことができない。
しかしあいちゃんからのお誘いで行けることになったかすかべ防衛隊の面々は恐竜と触れ合えたことに大興奮!
一方、シロは散歩中に出会った幼い恐竜と仲良くなり、野原家で一緒に暮らすことに。
ナナと名付けた恐竜と過ごしながら、ナナを探す青年、ディノズアイランドに隠された真相を巡り、特別な夏が始まるー!

恐竜ものといえば6500万年前にタイムスリップするのだろうと思っていましたが、そういえば予告の時点で現代が舞台でしたね。
しかし現代が舞台の恐竜ものというと『ジュラシック・ワールド』のイメージが強すぎて、恐竜が現代の渋谷に現るというのはなかなか斬新というか、実写邦画ではほぼほぼ無理な設定なので、アニメの、しんちゃんだからこそな作品でしたね。

序盤のゆる〜い日常ホームコメディはもはや鉄板。
猛暑や物価高に言及したのは昨年の内容を引きずってたんですかね?
あと何気に舞台装置としてあいちゃんが機能したのは初めてな気が。
シロとナナの絆、かすかべ防衛隊や野原家がナナと過ごす日常が宿題の絵日記に描かれながら進んでいくというのもエモかったですね。

そしてナナを探すビリーと出会うことで状況は一転、渋谷を中心に一気にストーリーも恐竜フィーバーへ。
ドラえもんでも『ジュラシック・ワールド』でも個別の恐竜の個体名についてそこまで細かくは言及されていませんでしたが、丁寧さからか教育的な意味も込めてか有名どころからマイナーどころまで一種一種説明。
間延びするのではと思いましたが、しんちゃんのユルさ的には特に問題もなくって感じでしたかね。
それに普通に恐竜パニックものにしてしまうとそれはそれでしんちゃんっぽくなくなる気もするので、名前をダジャレっぽくしてコメディ要素にしていたのもそれはそれで良かったと思います。
だからと言って唐突な「LOVEマシーン」は意味わからな過ぎて逆に好きです。
一体どの世代を狙ったギャグシーンだったのか……。

ストーリー的には、予告編の感じだと『ケツだけ爆弾』以来のシロがメインの話だと思っていましたが、ひろしとみさえが子の成長を見守る様子やかすかべ防衛隊の面々の活躍も、他でメインを張れるくらい前面に出ていて、どこに主軸を置いているのかがよくわからない印象が残りました。
恐竜というシンプルなテーマのため、盛り込める余白が多かったのかもしれませんが、成長か友情か家族愛か、どれか一つに絞って欲しかったですし、敵側組織に家族要素が入ってきていたので、もっと野原一家にフィーチャーしたらより見やすくなっていたのかとも思います。
その辺の詰め込み具合がちょうど映画の盛り上がるタイミングでキャパオーバーになった感があって、劇場内にお子様方が多めでしたが、飽きちゃったのか楽しんでるというより集中力が切れていたように見えました。
上述のギャグシーン含め、子供から大人まで幅広くなのか、低年齢層に絞っていくのか、また映画シリーズの転換点が来たのかもしれません。

作画についてはついにしんちゃんにも新たな波が来たかといった感じです。
恐竜の作画のほか、映画あるあるな敵組織のトンチキ兵器の作画が昨年のCGを経たためか結構な迫力が出ていました。
また、ラストバトルに出てきたロボットには、これまでの映画にも出てきたロボットとはまた違う、ロボアニメ感満載でもはや別アニメのレベルでしたが、それもそのはず、エンドロールに「サンライズ」の文字が。
そりゃそうなるわ。
終盤の感動を誘うようなシーンにも気合が入っていて、ここはおそらくなぜ今になって協力してくれたんだ的ポジ京アニさんのお力ですかね。
これで話の持っていき方が『アッパレ戦国』並だったら内容含め号泣もんだったと思います。

演技については、オズワルド伊藤の演技が上手すぎたためか畠中がめっちゃ脇役でコンビ間格差がめちゃくちゃあった気がします。笑
北村匠海の声優演技はもはや盤石というか、実写作品の演技と全然違ってて実写作品だけでなくアニメ作品にももっと出て欲しいですね。

埼玉紅さそり隊の面々や売間久里代、組長先生などの名脇役の活躍も良かったのですが、ちょいちょいカットインするのに全然セリフの無かった四郎くん……。

こちらも毎年恒例となりましたが来年の作品予想。
ほう、『ジュラシック・ワールド』の次はボリウッド進出ですか。
『拉麺大乱』のジェンカ並のダンスシーンを期待しておくとしましょう。
Jun潤

Jun潤