このレビューはネタバレを含みます
「エクスマキナ」のアレックスガーランド監督作品。A24製作。終始緊張を強いられる2時間弱が非常に疲れた。それはこの作品が全くの絵空事でもないと思わせる現実が、確かにかの国に存在するというリアリティを背負っているからに他ならない。言うまでもなく2021年に起きたトランプ支持者による議事堂襲撃事件や2024年のトランプ暗殺未遂事件が頭をよぎる。大統領3期目とかFBI廃止とか明らかにこの人をモデルにしているのだろう。ただし脚本自体は2020年に書かれている。ワシントンD.C.が戦場となる圧巻の映像は非常にショッキングであり、大統領が射殺されるラストは遺体を前に誇らしげな兵士たちのスナップが、ビンラディン暗殺の映像と重なった。同時に「内戦などないフリをしている」国民の姿は、現実世界で起きている中東やウクライナの戦争に無関心なわれわれ自身にも重なる。トランプ氏はこの映画を観て何を思うのだろうか。