これをクリスマスで地獄の様相を呈するガーデンプレイスを抜けた先の劇場でたぶん客3人くらいの環境で39歳で人生の全てを諦めている私が観てしまったと言うのもなんの因果かと言ったところだが凄かった。と言うか凄かったと言う感想しか出せないくらい疲弊したと言うのが正しいところであるが、カメラワークに酔うは多々あれどあまりにも多過ぎるカット数に酔うと言うのもなかなか得難い経験。カサヴェテスが『ハロルドとモード』を撮っていたら…みたいな話にその頃を思わせるルックであるが、人生再出発物語に付き物のしみったれた瞬間はついぞ訪れず、矢継ぎ早にほぼ躁状態でピーク時には1秒未満で切り替わるカットの応酬にスト2で言えばリュウの弱パンチだけでパーフェクトKOされた様な気分に陥った。これから観る方がいたら是非お手元にカウンターを装備して頂いてなるべく音を立てない様にカチカチしてみて欲しい、体感2兆ある。40歳と70歳の人生第2章の幕開け、最後はスッキリと終わるもののそこまでがもう台詞にもある様にめちゃくちゃに騒いでいる。正直面白かったのかどうかも定かではないが圧倒される映画だった、もう少し観られてもいいと思う。
