お前が芸術(シネマ)を選ぶのではない、
芸術(シネマ)がお前を選ぶのだ、マイボーイ。
…僕は芸術(シネマ)に全く選ばれなかったけどね!!(涙)
(見たい映画が殆ど見れなかったという意味で)
1973年のタミル。
警察官の内定が決まった超絶気弱な青年キルバイは、殺人事件に巻き込まれ犯人として逮捕されてしまう。
2年後、キルバイは無罪放免・復職の条件として地元のギャング「ジガルタンダ極悪連合」の親分アリアス・シーザーを殺害することを警視から命じられる。
アリアス・シーザーはクリント・イーストウッドを敬愛しており、相手を粛清する際にはわざわざ西部劇を流す映画館で早撃ち対決をさせる程の映画好きだった。
シーザーは自身が出演する映画を撮る為に、監督を決めるオーディションを開催する。
そこでキルバイは「(実在の)名監督サタジット・レイの弟子である、映画監督レイ・ダース」を名乗り、オーディションに参加!!!
「ゴッドファーザー」を引き合いに出し、シーザーのヤクザ稼業や生涯を実際に撮る映画を提案し、シーザーに気に入られ監督に抜擢!!!!
キルバイは映画撮影の中でシーザーを殺害するチャンスを伺うが、シーザーが超人過ぎて全くチャンスが巡ってこない。
このまま警官である事がバレたら命も危ない。
そこでキルバイはシーザーに「君の故郷を脅かす悪党シェッターニと戦い捕まえる雄姿を撮影しよう」と申し出る。
シーザーとシェッターニをぶつけ同士討ちを狙うキルバイ。
だが任務の中で、自分の使命とシーザーと共に撮る映画に対する愛情でキルバイは揺れ動く。
そして、事態は思いもよらぬ方向に動いてゆく…。
映画好きなギャングの親分と、彼を暗殺するため映画監督になりすました新人警察官、2人の映画作りと壮絶な物語を描いた、インド産の
ウエスタン・ギャング・戦争・ミュージカル・社会風刺・コメディ・映画讃歌・アクション・ドラマ映画。
ってジャンル多スギィ!!!
(インド映画じゃ何時もの事だが。)
今作は同監督が手掛けたの「ジガルタンダ」の精神的続編らしいのだが、話の繋がりはない模様。
因みに前作も「ヤクザの映画を撮る映画監督」の話で、前作から予算もスケールも倍にアップしたらしい。セルフリメイクみたいなものかな?
今年は近所の公開に恵まれなくて映画館に行く気が萎みまくってしまった…。
(最近では某ゲームの新作映画も公開されなかった…新作が100万本売れた人気作やぞ!?過去2作は公開されたのに…。)
だが、年末年始にかけて地元で公開されるインド映画「JAWAN/ジャワーン」がこれまたドンパチや火薬やアクションや娯楽要素満載そうな内容で面白そう!!!!
今年もそうだけど、年末年始”だけ”は面白そうで俺が好きそうな映画が揃うなぁ…(遠い目)。
そんな「JAWAN/ジャワーン」と共に、今作も公開されたので、せっかくだから「JAWAN/ジャワーン」の前哨戦として見とくか!って思い立ったので鑑賞。
(ぶっちゃけ公開終了最終日の鑑賞になってしもうたが。)
ぶっちゃけインド映画だからメチャンコ楽しい娯楽映画なんだろうなぁと思いながら鑑賞した。
…確かに今作は楽しくて面白い娯楽映画に違いない。
だが、それ以上にスゲェ心揺れ動かされた…!!!
まさかここまでスゲェとは思わなんだ…!!!
話としては上記の通りで「映画好きのギャング」と「監督に成り済まして映画撮影を行う警察官」の物語。
そこに政治のアレコレや、西部劇やギャング映画のオマージュ、そして二転三転する物語と激しいアクションで描かれる。
正直、自分は政治に疎いし、ギャング映画や西部劇映画もそこまで好きじゃないのだが(まぁ邦画の恋愛モノ見るよりは一兆倍マシだが。)、そんな俺でも楽しめる。
テンポのいい話運びに、ケレン味のあるアクション、映画好きすぎるギャングに監督に扮する警官が振り回されるコメディ要素等、ダンスあり、政治劇あり、ギャグあり、ぶっ飛びアクションあり、潜入捜査のスリルありな娯楽精神満載な物語運びで、3時間の長尺を全く感じさせない面白さ。
西部劇大好きなヤベーやつながら義理堅いギャングに、映画監督に扮するもギャングと映画作りに愛着を持ち始める警察官と、主役2人のキャラを筆頭にキャラクターも個性豊か。
要所要所で描かれるアクションもぶっ飛びながらどれも力強く見ごたえ抜群!!!
そんなこんなで最初からインド映画らしく盛りだくさんな内容で楽しませてくれるのだが、後半、自体は思わぬ方向に転がってゆく。
それまでの明るく楽しい展開が一気にシリアスな物語へと変貌、主人公の片割れを待つ壮絶な運命にかつてない程に驚愕…。
(正直、「壮絶なドンパチでも始まるんかな?」とか呑気に思っていたので、まさかのあんな結末を迎えるとは思わなかったです…。)
そしてどう収拾を付けるか分からない中で描かれるクライマックス、本作のテーマである”映画讃歌”を描き、かつてないドラマチックな結末を描く!!!
本作は「娯楽映画」だけでなく「社会派映画」として描かれるインド映画の姿も描いており、「何故インド映画では歌と踊りがあるのか」「何故インド映画ではここまで盛り沢山の感情を描くのか」という”答え”を描いてる。
インド映画は基本的に悪い敵を倒す勧善懲悪な物語が多いが、それはインド映画に”現実社会の問題”を多く反映しているから、という所もある。
(「インドの仕置人」の賄賂問題とか、「マイネーム・イズ・ハーン」の偏見問題とか、「pk ピーケイ」の宗教問題とか。)
それは今作とて例外でなく、それらによって人々に影響を与え、政治や社会の巨悪にさえも戦える”武器”となる。
最後は「映画愛」を武器に決闘し決着を付ける。
この展開は滅茶苦茶アツく、そして感動的だ。
難点を上げるとすると、政治を絡めた物語なのでそこら辺が結構複雑なので、そこについていくのは結構大変だったかな。
後、最後の最後で描かれるラストはある意味衝撃的。w
(個人的には昔見た「チャンドニー・チョーク・トゥ・チャイナ」ってインド映画のラストを思い出した…。)
って事で、見たい映画の前哨戦として軽く楽しむ筈が、まさかの凄まじい物語と熱いクライマックスで…何と言うかうまく言葉にできんが、滅茶苦茶心揺さぶられた。
正直かなり久しぶりにインド映画を観たが、インド映画の誇る底力を改めて実感した次第でございます。
もう殆どの劇場で公開は終わってしまってるが(汗)、兎に角「凄い」映画には違いないので、是非どうぞ!!!