【思い出】
もし可能であれば、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞最優秀賞を受賞した「AMY」も観てみて下さい。
「AMY」は周りの人々のインタビューなども含めて可能な限り客観的な視点で描かれた秀逸なドキュメンタリー作品だと思う。
そして、この映画「Back To Black」は、エイミーの気持ちに寄り添って、エイミーが何を考えていたのか、感じていたのか、苦悩していたのか、そうしたところにフォーカスし、想像しながら制作された作品だと思う。
ストーリーの中で印象的だったのは、ブレイクがエイミーに自分たちは共依存(co-dependency)だと言うところだ。最近公開になった映画「憐みの3章」や「チャチャ」でも取り上げられるテーマだが、DVなどの背景にも存在するとされるものなので切なくなった。
こうしたことを散りばめ、「AMY」と視点は異なるものの、彼女の才能を惜しむ人々と、トニー・ベネットの言葉を借りれば、生き急いでしまったエイミーとの対比も感じられると思う。
ただ、もしかしたらエイミー自身は、生き急いだからこそ出来た作品だと言うかもしれないなんて考えたりもする。
主要な登場人物はエイミーを中心にかなり本人に寄せてきているなと思う。そんなところもドキュメンタリー作品を観ると改めて感じてもらえるように思う。
もう一つ、メジャーデビューに向けたライヴ会場で、祖母との思い出の心のよりどころとしてエイミーが訪れるソーホーのロニー・スコッツは、僕がロンドンで勉強していた時に毎週試験があるにも関わらず、実は毎週のように通っていたユーロ・ジャズのライヴ・スポットだ。
映画では、入り口からライヴ会場までのアプローチや、入ってすぐのところにあるドリングカウンターが映し出されるが、昔と全然変わっていない。
僕は節約のためバーカウンターの横で立ち見でいつも過ごしていた。
そんなところも懐かしくて個人的に加点した。
「リハブ」は時を経てもやはり名曲だ。サブスクで聴けるのでエイミーの歌声を多くの人に聴いてほしい。そしてロンドンに行く機会があったら、ロニー・スコッツを訪れて欲しい。