Asino

デ ジャ ヴュ デジタルリマスター版のAsinoのレビュー・感想・評価

4.2
ダニエル・シュミットもう一本。

原題は「Jenatsch」
17世紀のスイスの政治家、というかスイスと周辺国の複雑な関係を利用して成り上がった男ゲオルク・イェナチュが殺された事件を追う記者の話なのだが、そもそもイエナチュのことを何も知らなかったのでこの記事を後からとても興味深く読みました。(そういう意味では意外と史実に忠実な映画だった感)
https://www.swissinfo.ch/jpn/%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%EF%BC%86%E9%AB%98%E9%BD%A2%E5%8C%96/%E3%82%B2%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%82%AF-%E3%82%A4%E3%82%A7%E3%83%8A%E3%83%81%E3%83%A5-%E5%8D%81%E4%B8%83%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%81%AE%E6%94%BF%E6%B2%BB%E5%AE%B6%E3%81%AE%E7%94%9F%E6%B6%AF%E3%82%92%E8%BF%BD%E3%81%A3%E3%81%A6/32556466

過去と現在がシームレスに混じる感じがとてもよかった。古い建物がたくさん残っているヨーロッパだからできることでもあるかもしれないけど、ふと振り返ると17世紀の人たちが当時の服装をして馬に乗っていてもあまり違和感がない。
これはデジャヴュというより過去と現在が並行している的な話ではないの?と思ってずっと見ていたんだけれども、最後にタイトルの理由がわかる。怖!

頻繁に主人公に掛かってくる母親からの電話はどういう意味合いだったのかな、とずっと考えてみていた。必ず出なきゃらない、という様子のわりに、出るとすぐに切ろうとする。内容も主人公を子ども扱いしているような他愛のない内容みたい。これは精神的に母親離れできていないことを暗示しているのかしら。恋人もどちらかというと彼の保護者みたいだった。
一方で主人公は恋人に対して全く誠実ではない描写が繰り返されるのもなんだか不思議だった。あちこちで女性に構われては躊躇なく寝る。あのエピソードはどういう意味なのかしら。

あの鈴はずっと彼に付きまとい続けるのだとしたら、彼がこの先正気保っていられるようにはあまり思えないな。
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