これも観たかった作品。
マッツ作品をキッカケにして、スターチャンネル月間のようになっているが、1ヶ月間を思う存分に楽しみたい。
ダニエル•シュミット監督作品は初鑑賞。
この作品は監督の少年時代の記憶を基にして脚本されている。
スイスの山中にあるホテルが取り壊されると連絡が入ったヴァランタン(サミー•フレー)は、翌日バスに乗り無人と化したホテルを訪ねた。そこで待ち受けたのは、当時売店担当だったガブリエル(アンドレア•フェレオル)で、海の見える部屋へ促すのだった。
当時ホテルは祖父母が経営していて、ヴァランタンは少年時代にそこで育ったのだった。ガブリエルはいつもミッキーマウスの最新コミックを渡してくれた。
懐かしい想い出が次々と走馬灯のように甦る、それは美しい回想譚が繰り広げられる。
ヴァランタン少年(カルロス•デヴェーザ)にとっては世界一の美女と信じていたアニタ(アリエル•ドンバール)、ホテル付きのピアノ弾きマックス(ディーター•マイアー)と歌手のリロ(イングリット•カーファン:ファスビンダー監督の元妻)のコンビ、怪しげなマジシャン(ウリ•ロンメル)、アナーキストの女(ジェラルディン•チャップリン)
様々な想い出は、音楽やダンス、美しいドレスを纏う女たち、客人の関係性まで次々と目の前に繰り広げられていく。
絢爛豪華なホテルを仕切るのは祖母(マリア•マッダレーナ•フェリーニ:フェリーニ監督の妹)で、いつも昔話を聞かせてくれた。祖父(モーリス•ガレル)は目が見えなくなっていたが、足音を聞けば客が誰かを知っていた。そして大女優サラ(マリサ•パレデス)に愛されていた。お腹が空いたヴァランタン少年に空想で料理を出して名前を教えてくれたのだった。
シーズンが変わり客足が止まると、家族は屋根裏部屋から下の階へ民族の大移動のように動くのが恒例だった。窓の向こうに広がる青い空と海まで蘇って来る。
ヴァランタン少年はある日、謎が解けたのも思い出す。鍵穴から覗き、ずっと気に掛かっていた女性の下着の中の神秘を知ってしまうのだった。
この子役がめちゃくちゃ可愛いのだが、撮影されたホテルのあるポルトガルの村で監督からスカウトされたらしい。
現在と過去が交錯する夢幻的な世界観。唯一無二の優美な映像にウットリ。キャストもベテラン揃いで演技も堪能しました。