監督の山嵜晋平さん、80年生まれということで「若手」ですよね。
22年の『なん・なんだ』が印象的です。主演の烏丸某が、完成後にひたすら作品を貶してて。「いや、作品以前にあんた自身だろ、貶められるべきは」って思ったの覚えてます。
今回は事前に荷風の原作をゆっくり読んでから見ました。小説はほんとによい味わいです。スカッと乾いたキャラクターの主人公がお相手の男性たちを飄々とやり過ごしながら平然と生き続けます。
しんどさや辛さや口惜しさは腐るほどあるんですが、それらをいなす技と性根を持っているというか。
56年の中村登さん松竹映画にはそのテイスト、残ってた気がする。
でも、今回はなあ…
寄るべのない女性二人が何がしか繋がりを探す、見つけるというのはこの小説のテーマじゃない気がします。
うわべだけの風俗描写に終わってしまったかなあ。
主人公の本名「君江」を種明かしとして終盤持ってくる演出も疑問です。
それならもっと荷風に敬意を表した筋立てにして欲しかった。
『なん・なんだ』の時と同じ感想になりますけど、山嵜さんの自作を楽しみに待ちます。